2011年2月25日 金曜日
Hurst et al. [JGR, 2011]を読む。Boulderにおける過去30年の水蒸気ゾンデ観測データを用いて、水蒸気トレンドの高度依存性を期間別に計算し、その原因を議論したもの。水蒸気トレンドの高度依存性の存在自体が面白い上に、その原因の議論も非常にしっかりしていてとても勉強になる。メタンの増加、熱帯対流圏界面気温の変動、子午面循環の強弱などの他にも原因がありそうということになっている。個人的にはTEM系の輸送方程式に現れるeddy
transportの項はどうかなと思うが。将来的には昭和基地における水蒸気ゾンデ観測がこの議論に加われるとよいのだが如何に。
2011年2月6日 日曜日
Son et al. [JGR, 2010]を読む。主にCCMVal-2に参加した3次元化学気候モデル群の出力を使い、オゾンホールの発達・回復が南半球夏季の対流圏循環場に与える影響を調べたもの。一連の論文同様わかりやすく書かれていて、内容には基本的に納得。ただ、いくつか突っ込みたくなるところも。まず、下部成層圏寒冷化の影響が1‐2か月遅れて地表に現れることについて。当たり前のようにも聞こえるが、考えてみるとそうでもない。NAMの下方伝播でも対流圏界面まで到達してしまえばそこから地表までは一瞬だし。仮に子午面循環に乗ってのんびり影響を伝えるにしても1か月はかからんと思うし。次に、ハドレーセルと中緯度ジェットの関係。これが冬の亜熱帯ジェットに関する議論だったら特に疑問は持たないんだが。夏半球側のハドレーセルはかなり弱く、中緯度ジェットは40-50度とかなり緯度が高い。その両者が果たして直接関係しうるかどうか。そして、中緯度ジェットのpoleward
intensificationが対流圏界面近傍だけでなく地表付近までつながるのは何故なのかというのも未だにはっきり理解できない。まぁ、storm
trackの移動に伴ってstorm track内の上向きE-P flux領域も移動するから、それによって対流圏界面と地表付近がつながっているのかもしれんが...うーん。これは1-2か月の遅れを作り出すメカニズムとも関係するからそこがヒントになるとは思うのだが。いずれにしても面白い論文でした。
非常に楽しいニュースが出ていたので紹介。「しんかい6500」がレゴ社から2/17発売!観測隊でも何か作れないかな。やっぱり「しらせ」か。
2011年2月5日 土曜日
北極成層圏の昇温はどうやらminor warming止まりで収束に向かう模様。久しぶりに大昇温の発生しない年になるか。
2011年2月4日 金曜日
この1週間ほどでアリューシャン高気圧が増幅して突然昇温っぽい状況になっている。ただ、予報を見るとこの後は回復していきそうなので大昇温まではいかないか。要注目。
2011年2月3日 木曜日
現在の仕事のキーワード:PANSY、観測隊、北極、Dagik、水蒸気、MPL、突然昇温...。時間と能力の不足を痛感する今日この頃。こうやって愚痴って少しガス抜き。
2011年2月2日 水曜日
南極北極科学館にDagik Earthを設置し、試験運用中。まだいろいろと問題があり、本格運用までまだしばらくかかりそう。今月中には本格運用に移行したい。
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