PSニュース No.22

     Polar Science  

 国立極地研究所では、過去20年に亘り南極および北極での観測・研究について、宙空圏、気水圏、地圏、隕石、生物圏の分野ごとにシンポジウムを開催し、その成果をそれぞれ年1冊の英文誌として刊行してきました。2007年7月よりこれらを1つにまとめ、総合学術出版社Elsevierと共同でPolar Scienceを創刊し、年4号発行します。各論文には、IPYのロゴマークが入り、Science Directに収録されます。


          ● 国際極年2007-2008年を契機とする国際誌

          ● 既刊の各分野英文誌をまとめて成果を発信

          ● Elsevierとの共同出版


Vol.6(3-4) には、以下の論文が掲載されています。


Evaluation of stratospheric ozone, temperature, and aerosol profiles from the LOANA lidar in Antarctica
C. David, A. Haefele, , P. Keckhut, M. Marchand, J. Jumelet, T. Leblanc, C. Cenac, C. Laqui, J. Porteneuve, M. Haeffelin, Y. Courcoux, M. Snels, M. Viterbini, M. Quatrevaletht
 南極デュモン・デュルビル基地に更新設置されたLOANA(NDACC=大気組成変動観測ネットワーク-のためのオゾン・エアロゾルライダー)ライダーによる観測について紹介する。このライダーは、成層圏のオゾン、気温、エアロゾル、極成層圏雲(PSCs)を測定するものである。オゾンモードとエアロゾルモードとがあり、前者で気温も測定する。気温やオゾン鉛直分布は4?5時間の積算によって得られるので、一晩に一プロファイルが得られる。エアロゾルについては、積算時間30分から数時間で一プロファイルが得られる。2008年から2009年の観測で、オゾンゾンデや衛星観測と比較がなされた。オゾン量では、高度17から34 kmにおいてオゾンゾンデ結果とバイアス誤差3%以内の一致が得られた。

A new approach to quantifying soil temperature responses to changing air temperature and snow cover
Michael C. Mackiewicz
  季節の積雪は、直接の局所的な気象条件から浅い土(0.25m)を分ける有効な絶縁隔壁です。 この障壁の有効性は、気温の変更に対する地温反応中の遅れによって観察されます。 空気と地温の間のこの因果関係は大部分は積雪の存在か欠如により、線形回帰分析を使用して、頻繁に特徴づけられます。 しかしながら、積雪が浅い地温の回答率の上に持っている、湿る大きさは、線形回帰の中で不明瞭になります。 この研究は、ダミーの説明変数を備えた重回帰を使用して、変わる積雪の下で、4つのグリーンランド・サイトで空気および浅い地温の間に湿る程度の量を計ります。 ダミー変数、定義する積雪条件は、積雪の存在のための雪およびz=1の欠如用のz=0でした。 重回帰(MLR)は2つの単純な一次方程式になります。また、z=に比べて分析された時、0または1は、方程式選択の確認を考慮に入れます。 MLR結果は、積雪条件の下では、気温の対応する1°C変化への0.23°Cへの0.12の因数だけ地温が答えて、その一方で雪がない状態で、浅い地温が、0.44°Cに0.22の因数にそばに変わっていることを示します。

Surface temperature inversion in the palsa and pounu fields of northern Finland
Hiroshi Tabuchi, Matti Seppala
 フィンランド北部のパルサとポウヌ(主に泥炭で構成される小さいアースハンモック)が発達する地域において、比較的温暖な1992〜1993年の冬期に、2mの高度以下で非常に大きな気温の逆転現象(接地逆転)が記録され、永久凍土が形成された。パルサが最初に形成されるような凍結深度の異常な深さは、雪の被覆とこのような接地逆転との組合せによって説明することができる。一度、パルサの内部に凍土が形成されると、凍土は表層まで上昇してくるため、その形成に強い寒気を必要としなくなる。

Diverse mineralogical and oxygen isotopic signatures recorded in CV3 carbonaceous chondrites
Hatsumi Ishida Tomoki Nakamura, Hitoshi Miura, Yuki Kakazu
 南極で回収されたCV3炭素質コンドライト6試料(RBT04143, QUE97186, LAP02206, LAP02228, LAP04843, GRA06101)に対し、岩石鉱物学的、化学的研究を行った。組織観察や鉱物組み合わせの結果より、6試料中4試料(LAP02206, LAP02228, LAP04843, GRA06101)がCVoxA、残りの2試料(RBT04143, QUE97186)がCVredに分類された。CVredに分類された2試料のうち、QUE97186は母天体上で20GPa程度の衝撃圧を経験していると考えられる。また、QUE97186のマトリックスのFa#の均質化が衝撃加熱によるものと仮定し、母天体上における衝撃過程による熱履歴を調べた結果、QUE97186母天体の加熱領域はおよそ1m程度であることが見積もられた。このことから、QUE97186母天体形成領域における天体衝突イベントは、局所的なスケールであったと考えられる。

Seasonal mortality rates of Oithona similis (Cyclopoida) in a large Arctic fjord
Vladimir G. Dvoretsky
 バレンツ海のコラ湾においてカイアシ類Oithona similisの瞬間死亡率を調査した。調査は冬(2005年12月)、春(2005年5月)、夏(2006年7月)そして秋(2005年9月)の4シーズンで実施した。O. similisの現存量は秋に最高値を記録し(2627±646 ind m^<-3>)、冬に最も低い値となった(129±18 ind m^<-3>)。コペポダイト(C)IV−V期ペア間(0.005±0.001 day^<-1>)の最大死亡率は2005年の12月に、またCV期−成体雄(0.453±0.026 day^<-1>)とCV期−成体雌(0.228±0.006 day^<-1>)は2006年の7月に最大値が記録された。これらは温帯域や両極海域に較べて高い値を示していた。回帰分析結果によると、各ステージの現存量と死亡率は海水温と、またCV期−成体雄とCV期−成体雌の死亡率はクロロフィルa濃度と正相関が認められた。O. similisの現存量と死亡率の季節変化は、彼らの生活史、また餌供給量と捕食圧によって決まる可能性が示唆された。


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