PSニュース No.26

     Polar Science  

 国立極地研究所では、過去20年に亘り南極および北極での観測・研究について、宙空圏、気水圏、地圏、隕石、生物圏の分野ごとにシンポジウムを開催し、その成果をそれぞれ年1冊の英文誌として刊行してきました。2007年7月よりこれらを1つにまとめ、総合学術出版社Elsevierと共同でPolar Scienceを創刊し、年4号発行します。各論文には、IPYのロゴマークが入り、Science Directに収録されます。


          ● 国際極年2007-2008年を契機とする国際誌

          ● 既刊の各分野英文誌をまとめて成果を発信

          ● Elsevierとの共同出版


Vol.8(1) には、以下の論文が掲載されています。


Potassium alum and aluminum sulfate micro-inclusions in polar ice from Dome Fuji, East Antarctica
Hiroshi Ohno, Yoshinori Iizuka, Shinichiro Horikawa, Toshimitsu Sakurai, Takeo Hondoh, Hideaki Motoyama
 極地氷に含まれる水溶性不純物は、氷の物理化学特性に大きな影響を与える。また、不純物の構造および分布は、氷や含有物の形成過程に関する重要な情報源となる。本研究では、顕微ラマン分光法を用いて、東南極で掘削されたドームふじ氷床コア内部にカリウムミョウバンおよび硫酸ナトリウム微粒子が存在することを初めて明らかにした。これらの水溶性塩の共晶温度は、それぞれ−0.4℃および−8.0℃であった。これらのアルミニウム含有塩の生成過程は不明であるが、その観察頻度は氷床深度に大きく依存する。

Comparison of tide model outputs for the northern region of the Antarctic Peninsula using satellite altimeters and tide gauge data
Fernando A. Oreiro, Enrique D'Onofrio, Walter Grismeyer, Mónica Fiore, Martín Saraceno
 潮汐モデルの検証のため、8の全球モデルと4の地域モデルの主要8分潮(O1、K1、P1、Q1、M2、S2、N2、K2)について、南極半島北部(58°S–66°S、53°W–66°W)で、衛星高度計および験潮データの解析結果との比較を行った。比較は、より詳細な地域性を見るため、最大振幅がほぼ同じで異なる特性を持つ、ゾーンI(62°S以北)、II(62°S以南–南極半島西)、III(62°S〜64.3°S、58.5°W以東)に分割し行った。ゾーンI〜IIIでのRSSは、それぞれ3.0, 4.2, 8.4 cm以下で、全域で特に優れたモデルはなかった。マティエンソ基地(64.9761°S、60.0683°W)では、近海の高度計データが十分にないため解析を別に行ったが、RMS、RSSとも最大であった。主要8分潮に続く振幅1 cm以上の分潮についても、最大、最小、平均振幅を調べた。

An observational study of radiation temperature inversions in Fairbanks, Alaska
Julie Malingowski, David Atkinson, Javier Fochesatto, Jessica Cherry, Eric Stevens

 2009年春から2010年秋/冬にかけ、アラスカ、フェアーバンクスにおいて晴天で静寂な夜延べ7日間にわたって、高頻度の連続ラジオゾンデ観測が行われた。これは、日射や、地表面を覆う積雪、下層の風が接地逆転層の形成と発達にどのように影響するかを調べることを目的とした。冬と夏の間の移り変わりの季節が選ばれた。それは、亜北極域の緯度帯では夜間の強い放射冷却が接地逆転層の発達を促し、日中の日射加熱が逆転層の解消を来らすからである。秋から冬にかけては、並行してSODAR(ドップラー音波探査レーダー)観測を実施した。ラジオゾンデとSODARで求めた接地逆転層の厚さは50 mと違わなかった。しかし、SODARによると、大気境界層のより複雑な構造が示された。この観測を通じて、接地逆転層は地表での急激な冷却で形成されはじめ、続いて大気層が冷却し、その後夜を通じて逆転層の厚さが成長することが示された。

Isolation, identification and characterization of highly tellurite-resistant, tellurite-reducing bacteria from Antarctica
Felipe A. Arenas, Benoit Pugin, Nicole A. Henríquez, Mauricio A. Arenas-Salinas, Waldo A. Díaz-Vásquez, María F. Pozo, Claudia M. Muñoz, Thomas G. Chasteen, José M. Pérez-Donoso, Claudio C. Vásquez
 テルル(Te)のイオンであるtellurite(亜テルル酸塩,TeO2)は,活性酸素種を生成するため多くの生物にとって極めて有害である。本研究では,南極の極限環境からtellurite還元細菌の探索を試みた。高い紫外線強度や乾燥,凍結など,活性酸素種が誘導されやすい条件にあるため,南極の細菌はtellurite耐性を示すと考えられる。その結果,123株のtellurite耐性菌が分離された。16SrRNA遺伝子の解析によりStaphylococcus hameolyticus, S. sciuri, Acinetobacter haemolyticusなどと同定されたこれらの分離株は,大腸菌の35〜500倍のtellurite耐性と,高いレベルのtellurite還元能を示した。この結果は,生物的環境修復などへの応用の点で興味深い。


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