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広域海氷生成機構の研究

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 北極海の海氷が急速に減少している一方で南大洋の海氷面積は若干増加傾向にあります。温暖化にあって海氷面積が増加することは気候のメカニズムの複雑さを示しています。海氷域における大気・海洋間の相互作用が十分に理解されていないため、第5次IPCC(2013出版予定)の報告においても気候モデルでの海氷の再現・予測は十分に行えていません。

 広大な海氷域は、地球放射収支及び気候システムにおける熱分配を支配し、極域の気候の決定に深くかかわります。海氷の変動を正しく理解するためには海氷面積に加えて、その体積、海氷下の海洋層や海氷上の大気との熱交換、水収支を知る必要があります。しかし、海氷域での現場観測は難しく、海氷モデリングに必要なデータの取得が進んでいませんでした。南大洋・北極海でこれらのデータを収集し、海氷モデリング構築への貢献を果たします。また、広域の海氷変動を理解するために、海洋表層・中深層循環を同時に観測するとともに、人工衛星データを活用して1000㎞程度の水平スケールの大気循環、海洋循環を併せて研究することが不可欠です。


図1: 南大洋における年積算海氷生産量と南極底層水の形成域の模式図(Tamura et 
al., 2008 を加筆・修正)。




図2: 北極海における年積算海氷生産量の空間分布(Tamura and Ohshima, 2011 を修正)。海氷の厚さ(m)に換算して示したもの。海氷は沿岸ポリニヤという局所的な場所で多量に作られている。