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気水圏グループが推進する研究 大きく8つに組み上げて説明します。
大気・地表面の放射過程の研究
氷床流動の力学過程の研究
南極氷床表面の水収支・質量収支の研究
大気循環が担う熱・水・物質輸送の研究
広域海氷生成機構の研究
海氷生成と海洋大循環・海洋物質循環の研究
北極温暖化増幅・北極域変動と日本への影響の研究
アイスコアによる気候変動の研究
南極氷床表面の水収支(質量収支)の研究
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南極氷床は、その上に年々降り積もる雪と、流出等によって失われる氷のバランスによって収支が成り立っています。これらのバランスを質量収支と呼びます。南極に到達する水蒸気が大陸に多く固定されると、南極は全体の質量を増します。一方、地球温暖化による融解や流出が大きくなると、南極大陸の上の氷の質量はおおきくなります。海水準の今後のゆくえをしるうえで、非常に重要な研究課題になっています。
南極氷床の質量収支の中で氷床を涵養できるのは表面からの水の供給だけです。地球温暖化が大気中の飽和水蒸気量を大きくすることによって、極域では降雪量が増えると考えられています。気候モデルでは、南極氷床表面での涵養量が増し、海水準を下げると予測されています。我々が行ったドローニングモードランドトラバース観測からは近年100年程度の間に、実際に涵養量が増えていたことを世界に先駆けて明らかにしました。
南極氷床の内陸域での涵養の80%程度が晴天降水(ダイヤモンドダスト)であると長い間想像されてきました。しかし、ドームふじ基地の観測を基に提案したブロッキング現象の議論を契機として、年間10数回程度しかない総観規模大気擾乱の効率的な水蒸気輸送と降雪形成が涵養量の半分程度を担うという認識が世界的に広がってきています。総観規模擾乱の活動度の変動を知ることが南極氷床の気候応答にとって重要となります。降雪量の高精度観測を目指す国際降雪量比較観測計画(SPICE)の中に我々の活動も採択されており、ここで構築する高精度降雪量観測を雪尺観測とともに氷床上の拠点やトラバース観測に適用します。
ドームふじ基地は東南極西部域を代表する頂上基地であり、ここで氷床涵養と大気の観測を継続することは気候システムの理解に貢献します。
図:南極大陸表面への水蒸気の供給過程の模式図(平沢尚彦による)
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