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アイスコアによる気候変動の研究

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 気候の将来予測をするためには、気候システムの変動の仕組みを知る必要があります。100年~数10万年程度の時間規模の気候システムの変遷過程を知り、更に予測結果の正当性を裏付けるためには、南極氷床とグリーンランド氷床に残された記録から過去の変動を明らかにすることは最も合理的な方法の一つです。過去の気候システムの変動を精度よく把握するために、アイスコア分析技術の改良・拡張や新しいアイスコア採取による分析資料の供給を行いたいと考えています。国際的にトップクラスの採掘技術と分析技術を生かして、気候予測変数の絶対値の大きさや気候システム因子の変動の時間的タイミングの特徴を把握します。

 極地の氷からドリルで掘り出したアイスコアは、地球環境のタイムカプセルです。日本は、国立極地研究所を中心として、南極ドームふじなどを拠点にアイスコアを採取し、古気候の研究をすすめてきました。南極ドームふじアイスコアなどから、地球環境の変遷の他、超新星爆発など宇宙環境のイベントが、明らかとなってきました。

 国立極地研究所では、アイスコア研究を強化し、中長期的視野に立ってアイスコア研究を総合的に推進していくこと目的として、アイスコア研究センターを2014年度に設置しました。

 ドームふじアイスコアの研究は、アイスコアコンソーシアム(略称 ICC)という共同研究の組織をつくり、そこが共同研究を運営しています。国立極地研究所は、この共同研究組織の要となっています。

 主要な氷床コアは、南極氷床と、グリーンランド氷床で採取され、分析されてきました。

 国立極地研究所は、その研究資源として、世界でもトップクラスの低温実験室環境を整備しています。アイスコアの研究と保管は、この低温室環境を用いておこなっています。低温室環境は、申し込みを通じて、全国の大学等の共同利用を推進しています。アイスコアの研究環境としては先端的になっており、さらなる洗練と革新を目指しています。

  


図: 過去30万年間の気温変動(上側の図)と、大気中の炭酸ガス濃度