平沢 尚彦 (気水圏研究グループ)
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南極観測隊への参加に興味をお持ちの方:
   まず調べたい(一般的なことがら) ⇒ 極地研究所南極観測センターへ
   大気・気候の研究プロジェクトの隊員 ⇒ 活動の紹介と連絡先
○専門分野 大気科学 (南極の大気を中心にして研究しています)
  ●●自らの出版等を中心に引用しています。同じトピックについて他にも様々な表現があります。●●
  南極域と北極域を中心に大気科学の研究を行っています。極域は低温のため大気中に存在する 水蒸気の量が他と比べて少なく、一般に降水量や蒸発量は少なくなっています。地球大気中の 水循環からみれば極域大気中を通る水の量は多くありません。しかし、中緯度や低緯度とは異なる 水循環過程があり、興味深いものです。単位時間当たりの水の供給量は少なくても、長い時間を 掛けて南極氷床のような巨大な氷の塊を作り上げてもいます。
  極域の対流圏下端では気温逆転層が存在することが多く、 そこでは晴天降水(ダイヤモンドダスト)が絶え間なく続く特徴的な水循環過程があります。 また、ブロッキング現象をはじめとした総観規模擾乱の影響を受ければ、短時間に大量の水蒸気が 極域に持ち込まれ、強い降水が起こります。時間にして80%以上を占める晴天降水による極端に 強度の弱い降水と、20%以下の総観規模擾乱に影響された強度の強い降水は、それぞれが総降水量の 半分程度を担い、極域の降水を特徴づけます。このような水の輸送メカニズムは同時に エアロゾルなどの大気微量物質の輸送 にも関わっています。例えば、南極氷床に気候マーカーとして堆積する化学成分はこのような大気循環 によりもたらされています。
  ⇒ 南極氷床の内陸域の特徴的な水循環過程
  ⇒ 南極・昭和基地の雲エアロゾルの観測

  これらの研究には、自らが代表となり実施する大気観測衛星受信の実施 とそれらのデータの利用、及び日本の気象庁をはじめ世界各国で作られている気候再解析データ等の利用が 欠かせません。極域の水循環を把握するためには現在の降雪量観測機器の性能の向上 が極めて重要です。無人飛行機等の有効性が期待される新しい観測手法の開発や試用に積極的 に関わることにも意義があります。 気象や気候システムのメカニズムを分析するために数値モデルを利用します。これらの研究の結果は 人類の知見として共有されるだけでなく、数値モデルの改良や科学的知見を広げるための新たな観測の 提案によって研究へのフィードバックにもなっています。
  ⇒ 南極の大気と気候の観測(参加希望者へ)
  ⇒ 5回の南極観測隊で観測と研究したこと(作成予定)
  ⇒ 南極・昭和基地におけるNOAA衛星データ受信
  ⇒ 高精度の降水観測への取り組みを通した極域寒冷域における水循環の研究
  ⇒ 無人飛行機(UAV)観測への取り組み

  また、極域・寒冷域の研究コミュニティの一員として、気象学会の中に 極域・寒冷域研究連絡会を組織し、その運営を共同で担い、雪氷学会の 極地雪氷分科会での活動も行っています。極地研究所で年に1回行われる極域気水圏シンポジウムや 極地研究所発行の論文誌“南極資料”などの編集に携わってきました。研究所の広報として ホームページ編集、子ども向けページ企画を進めてきました。
  ⇒ 日本気象学会 極域・寒冷域研究連絡会
  ⇒ 日本雪氷学会 極地雪氷分科会

【付録】
  上には南極研究のみを記載しました。大学生、大学院生の時には熱帯や梅雨のことを 調べていました。熱帯の季節内変動は梅雨に影響をもたらしています。梅雨は北半球の高緯度 の状態からも影響を受けています。その意味で北極の現象にも関心を持っていました。 南半球や南極域の大気は梅雨や北極域、熱帯の大気と何らかの関係を持つのでしょう。 そういう研究も進めたいと思っています。
○主な研究課題

南極域における気候形成機構の研究
無人気象観測装置(AWS)による南極域の気候変動の研究
【以下は既出】
高精度の降水観測への取り組みを通した極域寒冷域における水循環の研究
南極・昭和基地の雲エアロゾルの観測
南極・昭和基地におけるNOAA衛星データ受信
無人飛行機(UAV)観測への取り組み
○具体的な目標

★ 無人気象観測装置(AWS)観測網の30年以上の長期的運用
★ 降水強度が 0.1 mm/day 以下の降水、風速 30 m/s 以上の中での降水を正しく計測すること
★ 無人航空機(UAV)による水平距離 1000 km、高度 30 km に及ぶ大気観測
★ 南極氷床上の大気環境における数値モデリングの改良 
★ 必要でありながら、困難な環境のために未着手となっている野外観測の実現と維持、及び人材育成