実際に共役点オーロラの例を見ていきましょう。
動きが緩やかであまり明るくないオーロラは、南北両半球で比較すると非常に良く似ています。しかし、オーロラ嵐に伴うような動きが活発で明るさも激しく変化するオーロラでは、形・動き・明るさが全く似ていないものが両半球で観測されています。
右図は良く似たオーロラの例です。左がアイスランドのフッサフェル、右が昭和基地で、同じ時刻に観測したものを並べています。この図は、魚眼レンズで撮影したオーロラを極方向(アイスランドは北、昭和基地では南)を上・東を右とした地図上に描いたものです。これを見ると南北のオーロラがとてもよく似ているのが分かります。
ところが、このオーロラはすぐに違う形のオーロラに変化してしまいます。次の図は前の図から52秒後のオーロラを同じように地図上に描いたものです。2ヶ所のオーロラは全く似ている部分がありません。
このように1本の磁力線で結ばれた場所でも、全く違うオーロラが観測されることがあります。これは様々な原因が複雑に絡んで起こっていると考えられています。南極と北極では季節が反対であるように、さまざまな地球物理的なパラメータが違うのです。例えば、磁力線の方向・磁場の強さ・地球の自転軸と磁極の位置関係などが挙げられます。
最近では、とくに電離層の状態の違いが大きな影響を与えていることが明らかになってきました。同じ種子をまいても土が違えば植物の育ち方が違うように、オーロラの元となる電子も南と北では受ける影響が違うのでしょう。
|