アイスランドと昭和基地は両方とも極地なので、夏と冬はどちらかが白夜となり、オーロラが見えなくなってしまいます。両方同時にオーロラが見えるのは、秋分・春分の日の前後数週間だけです。私たちは、オーロラの同時撮影を8〜9月および2〜3月の秋分・春分時期の新月付近の年2回行います。また、アイスランドと昭和基地で同時に暗夜になる時間は、秋・春分時でも1日に約5時間だけです。さらにオーロラが出現するとき、双方の地点で同時に快晴となる必要があります。
実際にはこの天候の条件が最も厳しく、その時の運・不運に左右されてしまいます。観測期間中の数週間でオーロラを同時に観測できるのは、たった1〜2晩しかありません。
南極側の昭和基地では、毎年派遣される日本南極地域観測隊員が、最新鋭の観測装置を使って総合的なオーロラ観測を継続的に実施しています。この秋・春分時期の数週間は、アイスランドと昭和基地で連絡を取りながら集中同時観測を行います。
一方、アイスランドでの観測はアイスランド国内の3〜4ヶ所で行います。地域によって天気が違うことが多いので、離れた観測点を同時に何ヶ所か確保して共役点での観測データを得る可能性を上げています。
2001年9月に実施した観測では、首都レイキャビック(Reykjavik)から約100km北東側に位置するフッサフェル(Husafell)、フッサフェル北東約250kmのチョルネス(Tjornes)、チョルネス南東のグリムスタデール(Grimsstadir)及び、チョルネス北東約50kmに位置するアイスランド最北端のロウファフン(Raufarhofn)の4地点を観測拠点としました。
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