研究ハイライト

33年間のEISCAT観測から超高層大気が寒冷化する様子を解明2014.9.26

EISCATレーダーデータから導出した33年間(1981-2013年)の高度180kmから480kmの電離圏温度の変動。暖色系ほど高い温度(単位はケルビン(K))であったことを示す。太陽活動の極大期である1989-1992年付近や2000-2013年付近には電離圏温度が約1500度まで上昇している様子が見て取れる。

高度320 kmの電離圏温度の長期トレンド。ΔTiは、電離圏温度から太陽活動の影響を除いたもの。1年間あたり1.4度の割合で温度の低下が起きている。

電離圏温度の長期トレンドの高度分布。横軸は気温トレンドで、右ほどトレンドが高い(温暖化の傾向にある)ことを表す。グラフの色は3つの太陽活動度指数の違いを表している。高度が400 km 以上では、電離圏温度が上昇(温暖化)していることが分かる。

地球温暖化により超高層大気は寒冷化することがモデル計算で予想されていましたが、これまでの観測データに基づく寒冷化の程度は、モデル計算の予測値と大きな違いが生じている状況でした。本研究ではEISCATレーダーデータの詳細な解析から、精度の高い温度の長期変動分布を導出した結果、極域の超高層大気は1年あたり約1.4度の温度低下が起きていることが分かりました。この結果は、超高層大気の寒冷化が最新のモデル計算結果とも整合的に生じていることを示しています。地表面に比べて10倍以上も大きな変化をする超高層大気の温度の長期変動を充分に調査していくことが、超高層を飛翔する多くの人工衛星軌道の正確な予測や、地球温暖化の進行を予測する上で重要であることを、この研究は示しています。

Ogawa, Y., T. Motoba, S. C. Buchert, I. Haggstrom and S. Nozawa,
Upper atmosphere cooling over the past 33 years,
Geophys. Res. Lett., 41, 5629-5635, doi:10.1002/2014GL060591, September 2014.

プレスリリース

- AGU Research Spotlight として紹介されました (Eos Trans. AGU, 95(47), 444, 2014)

カテゴリ:長期変動


極域大気の長期変動2014.4.21

過去24年間の電離圏イオン/電子温度の変動と太陽活動度との対応

1981年から観測を継続しているEISCAT UHFデータを用いて、極域電離圏で生じるイオン上昇流が太陽活動度にどのように依存しているかを明らかにしました。

Ogawa, Y., S. C. Buchert, A. Sakurai, S. Nozawa, and R. Fujii, Solar activity dependence of ion upflow in the polar ionosphere observed with the European Incoherent Scatter (EISCAT) Tromso UHF radar, J. Geophys. Res., vol. 115, A07310, doi:10.1029/2009JA014766, 2010.

カテゴリ:長期変動,電流


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