オーロラサブストーム開始前後の電離圏変動2014.6.23
統計解析で求められた(a) 電子密度、(b) 電子温度、(c) イオン温度の高度プロファイル。EISCAT上空をオーロラアークが通過する時刻を t = 0 とし、相対時刻を色で分類して表示している(黒:-60 < dt < -30 min, 青:-30 < dt < 0 min、赤:0 < dt < +30 min、緑:+30 < dt < +60 min)。下記説明文にある特徴をはっきりと確認することができる。
オーロラサブストームに対する極域電離圏の応答は様々な観点から研究されてきた。これまでの研究活動によって、例えば、極方向に急激に移動するオーロラアーク近傍に発達する電流系、高エネルギー電子の降込みによる電離圏密度の増加、ジュール加熱によるイオン温度の増加などの理解が進んだ。しかしこれらの現象の高度依存性は分かっていない。そこでEISCAT UHFレーダーを用いた統計解析を行い、電子密度、イオン温度、電子温度の変動の高度依存性を調べた。オーロラサブストームに伴い極方向に移動するアークがEISCATレーダー上空を通過する直前にイオン温度が電離圏全高度域において上昇する。これはペダーセン電流によるジュール加熱の発達を意味する。アーク通過後、ディフューズオーロラが発達し、E領域電子密度はこの時間帯に最大となり、高度150-200 km付近の電子密度は徐々に減少していく。一方、F領域の電子密度は高いレベルを長時間維持する。ポーラーパッチの影響も一部にみられるが、100eVクラスの粒子降込みが主な原因であることが分かった。
Oyama, S., Y. Miyoshi, K. Shiokawa, J. Kurihara, T. T. Tsuda, and B. J. Watkins, Height-dependent ionospheric variations in the vicinity of nightside poleward expanding aurora after substorm onset, J. Geophys. Res. Space Physics, 119, doi:10.1002/2013JA019704, May 5, 2014.
カテゴリ:オーロラ,磁気圏電離圏結合,電流
オーロラサブストームと極域電離圏イオン上昇流の関係2014.6.21
2001年9月25日に発生したオーロラサブストームの画像
EISCATレーダーで観測された上向きイオンフラックス(上)とイオン上昇速度(下)
概要:
・複数のEISCATレーダーデータとIMAGE衛星のオーロラ画像データを組み合わせて、オーロラサブストームと極域電離圏イオン上昇流の関係を明らかにした。
・サブストームオンセットから約6分後に電離圏イオン上昇流が発生し、ポールワードエクスパンジョン時に上向き速度とフラックスが最大になることが明らかになった。
・この電離圏イオン上昇流に関連して、磁気圏では約40分後に高速酸素原子が観測された。この時間差から電離圏でのイオン加熱・加速は18-27電子ボルトと見積もられた。
・サブストームのリカバリーフェーズでも、広範囲に低エネルギー粒子の降り込みがあり、イオン上昇流が頻繁に起きていることを明らかにした。
Ogawa, Y., M. Sawatsubashi, S. C. Buchert, K. Hosokawa,
S. Taguchi, S. Nozawa, S. Oyama, T. T. Tsuda, and R. Fujii,
Relationship between auroral substorm and ion upflow in the nightside polar ionosphere,
J. Geophys. Res. Space Physics, 118, doi:10.1002/2013JA018965, 2013.
カテゴリ:オーロラ,磁気圏電離圏結合
極域大気の流出現象2014.2.28
EISCATスバールバルレーダーで観測した酸素イオンと水素イオンの上昇流
電離圏上部から磁気圏へ流出し始めるイオンの特徴をイオン種毎に観測することにより、磁場に沿う方向に全イオン流出量が保存されている様子を、観測的に初めて明らかにしました。
Ogawa, Y., I. Haggstrom, S. C. Buchert, K. Oksavik, S. Nozawa, M. Hirahara, A. P. van Eyken, T. Aso, and R. Fujii, On the source of the polar wind in the polar topside ionosphere: First results from the EISCAT Svalbard radar, Geophys. Res. Lett., vol. 36, L24103, doi:10.1029/2009GL041501, 2009.
カテゴリ:磁気圏電離圏結合