南極ドーム隊は5日に渡るブリ停滞ののち、ついにみずほ基地に到着したようですね!(
こちら)
今日は、みずほ繋がりということで、先日紹介した
みずほコア1のつづき(詳細情報)です。
(以下長いので、アイスコアに興味がある方向けです)
このみずほコアは今から30年程前、24次隊・25次隊によって掘削された全長700mのアイスコアです。
24次隊によって掘削された深度413mまでのコアのうち、50~130mは抜けている部分が多いのですが、それ以外はほぼ全深度(サンプル)そろっています。
また25次隊によって掘削された133.5~700.56mのコアは、24次隊と重なる深度はあまり残っていませんが、400m以深はM'1132(680m)以外、全深度(サンプル)そろっています。
これらはすでにδ18O、dust(固体粒子数)、EC、PH、各種イオン濃度などが分析されています。
また、今年の2・3月には、ほぼ全深度に渡って、DEP(電気伝導度)計測も行いました。
この700mのみずほコアはコア中の氷結晶の結晶軸のパターンの変化から、過去9400年分に相当すると見積もられています。
他に以下のような特徴があります。
●サーマルドリルで掘削
ドームふじコアなど、最近の主流はメカニカルドリルですですが、みずほコアはサーマルドリルで掘削されました。
コアの直径は近年のアイスコアに比べて大きく、約12cmです。
サーマルドリルでは、リング状のヒーターで氷を融かして掘り進むため、低温の氷に急激な温度変化を引き起こし、特に130m以深ではコアに水平方向のクラック(ひび)が多数生じています。

(写真は270m付近のコアの様子です )
●500m付近に汚れ層(テフラ層)
このテフラ層の起源は約3000km離れたサウスサンドウィッチ諸島の火山だと考えられています。
なかなか分かりづらいかもしれませんが、少し大きめの写真を載せておきます。


これらのコアは全て写真を撮り、データベース化して、低温室に保管しています。
参考:
WATANABE, O., FUJII, Y., & MOTOYAMA, H. (1992): Results of Analyses of Mizuho 700m Ice Core, East Antarctica Part 1. δ18O, Microparticles, ECM (Acidity), pH, Major Ions. JARE data reports. Glaciology, 20, 1-79.
Nakawo, M., Ohmae, H., Nishio, F., & Kawada, T. (1989): Dating the Mizuho 700-m core from core ice fabric data. In Proceedings of the NIPR Symposium on Polar Meteorology and Glaciology (Vol. 2, pp. 105-110). 国立極地研究所.
Higashi, A., & Fujii, Y. (1994): Studies on microparticles contained in medium-depth ice cores retrieved from east Dronning Maud Land, Antarctica. Annals of Glaciology, 20(1), 73-79.