南極観測隊便り 2017/2018


2017/11/24

空飛ぶおたまと、恩師が越冬したみずほ基地

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こんにちは、医医療隊員宮岡です。雪上車生活約2週間が経過しましたが、体重は約2kg減りました。ダイエット順調といいたいところですが、昭和基地で過ごした数日間のおもてなしで太ってしまった分を取り返した感じになっています。

ブリザード停滞もありましたが、南極の沿岸から数百km内陸に入ってきました。雪上車で移動し始めた当初は雪面もほぼたいらで揺れもあまりありませんでしたが現在の雪面は起伏が激しく、雪上車が前進するたびに体が上下左右に大きくゆられます。気付いたら車内で固定していたおたまが落ちていました。ただ、お鍋や水筒はいくら揺られても台から落ちません。重さや重心・物が置かれている高さが関係しているのかなと推測しています。この雪面はしばらく続くようですので、調査してみようと思います。

今日の天候は非常に変わりやすくなっています。内陸に入っていくと、大陸性の高気圧に覆われてくるので天候は安定するようですが、現在の地点では沿岸付近で発生する低気圧の影響を受けるようです。太陽のまわりに虹が出たかと思えば、ホワイトアウト状態で雪面と地平線の影響を境界が分からず、すぐ前の車両しか見えなくなりドキドキしながら運転する事になります。ただ、各車両最低2種類のGPS機器を搭載しておりますので、そのナビに従えば問題なくなっています。私の携帯に付属しているGPSも正常に作動しており、機器の発達ぶりに驚かされるばかりです。



移動ルート上、景色として見えるのは雪面・空・太陽・車両・点在する観測機器しかありません。動物も内陸に入ると殆どおらず、この2週間で白い鳥を2羽みただけです。本日は移動していると左に大きな人工物が見えました。経由地である日本のみずほ基地の観測タワーです。みずほ基地そのものは既に雪の下に埋まっており一部だけ視認できる形ですが、何もない雪面に人工物がみえるとなんだかほっとします。このみずほ基地は、私の恩師でもある外科医の高木先生が約30年前に越冬した基地でもあり、恩師と同じ場所に立つ事が出来、感慨深いものがありした。我々を歓迎しているかのように、みずほ基地近くのキャンプ地でも虹(天頂環?)が見られました。これはなかなか見られるものではないようです。明日からも無事に行動できるよう祈っているとふっと消えてしまいました。





出発地:Z082
キャンプ地:IM1(みずほ基地そば)
標高:約2250m
気温:-18度(19時現在)
移動距離:58 km
S16(出発地)からの積算移動距離:約 255 km
ドームふじ基地まで:約 750 km
本日の作業:
 みずほ基地まで移動
 ルート沿いの積雪サンプリング、キャンプ地での観測、レーダー観測
 自動気象測器メンテナンス、無人磁力計メンテナンス、101本雪尺、インターバルカメラ設置
 デポ燃料ドラム橇の引出しと移動、ドラム入れ替え、空きドラム橇デポ、橇ワイヤー交換
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