概要

EISCAT_3Dとは?

 スカンジナビア半島北部に最先端のフェーズドアレイ式レーダーを設置する新しい国際共同プロジェクトです。
 世界で初めての多点イメージングレーダー観測を実現することにより、環境モニタリング・宇宙プラズマ物理学・太陽系科学を推進し、宇宙天気と地球気候の予測精度の向上を目指しています。 0.1秒の時間分解能や50mの空間分解能は、世界中の大型レーダーでトップであり、時間的・空間的に激しく変動する「太陽活動の影響」を測定可能になります。
 本プロジェクトは2008年12月にESFRI(欧州研究インフラ戦略フォーラム)のロードマップに採択され、さらに国内ではマスタープラン2014及びロードマップ2014の重点大型研究計画の1つである「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」の重要な観測装置として、EISCAT_3Dレーダーは位置づけられています。 このEISCAT_3Dレーダーを用いて、2020年から約45年間の観測を実現するための準備を、 EISCAT(欧州非干渉散乱)科学協会加盟国(日本、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、英国、中国)による国際共同で進めています。


EISCAT_3Dコアサイトのイメージ図(イラスト:加藤愛一氏)

EISCAT_3Dの研究課題

EISCAT_3Dレーダーの主目的は、太陽風エネルギーの流入とその影響の全容を解明することです。
このレーダーを用いて、下図に記載した多岐にわたる研究対象について、日本の研究者による主体的な国際共同観測・研究の 実現を目指しています。特に中心課題と想定している内容は以下の通りです。
EISCAT_3Dレーダーを中心とした拠点観測に加え、飛翔体観測やシミュレーション研究を相補的に組み合わせることにより、これらの未解明問題の理解に取り組みます。

■ オーロラの3次元構造とその生成機構
 ● オーロラ微細構造の解明
 ● 脈動オーロラの生成機構の解明
■ オーロラエネルギーの変換プロセス
 ● 全球規模のエネルギー再配分と物質輸送理解
 ● イオン流出の生成機構の解明
■ 下層大気と超高層大気の上下結合
 ● 中間圏・電離圏D領域の微細構造の理解
 ● 中層・超高層大気の寒冷化の解明
■ 宇宙天気研究及び様々な研究分野への応用
 ● 宇宙デブリの詳細把握
 ● 惑星科学や太陽風研究


EISCAT_3Dレーダー(5局)の建設予定地


マスタープラン2014

EISCAT_3D計画を含む提案書「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」が、2014年3月にマスタープラン2014の重点大型研究計画27件の1つに選出されました。

EISCAT_3D_gaisan_revised_v17_2_ページ_02.png


EISCAT_3D Preparatory Phase(準備フェーズ)

2010年10月より4年間の EISCAT_3D Preparatory Phase が開始されました。 この Preparatory Phase では、EUから450万ユーロ(約5億円)のサポートを受け、 EISCAT_3D レーダーの建設実現に向けて様々な活動を行っていきます。

関連する会議や発表:

・2009年12月3日に EU に提出された
 EISCAT_3D 計画に関する Framework 7 申請書
 (pdf 形式。EISCAT本部のウェブページより。)

・第2回 EISCAT_3Dユーザーミーティング
 (2010年5月19-21日、ウプサラ・スウェーデン)
 ミーティングプログラム と  ミーティングメモ
 EISCAT本部内に保管された発表資料などは こちらに。

・EISCAT_3D Preparatory Phase キックオフミーティング
 (2010年10月21-22日、ストックホルム・スウェーデン)
 ミーティングの概要はこちらに

・2010年度SGEPSS秋学会のMTI研究会会合での
 EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2010年10月31日、沖縄)
 (発表資料: pdf形式

・EISCAT_3D サイエンスワーキンググループ会議
 (2011年1月13-14日。ヘルシンキ・フィンランド)
 そのグループ会議を経てまとめられたEISCAT_3Dレーダーに求められる
 観測パラメーターとその分解能のリスト (2011年2月21日版。pdf形式
 EISCAT_3D サイエンスワーキンググループの活動の概要(pdf形式)

・2011年夏にフィンランドのキルピスヤルビ(Kilpisjarvi)に
 EISCAT_3Dのプロトタイプを兼ねた受信アンテナが建築されます。
 その施設はKAIRA (Kilpisjarvi Atmospheric Imaging Receiver Array)
 と呼ばれています。 参照ウェブページ

・第2回 EISCAT_3D サイエンスワーキンググループ会議
 (2011年5月17日、ウプサラ・スウェーデン)
 EISCAT_3D サイエンスワーキンググループの活動の概要の改訂版(pdf形式)

・第3回 EISCAT_3Dユーザーミーティング
 (2011年5月18-20日、ウプサラ・スウェーデン)
 ミーティングメモ(pdf形式)
 ミーティング時の小川の発表ファイル(pdf形式)
 ミーティングのプログラムは こちらに。

・2011年度SGEPSS秋学会のMTI研究会会合での
 EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2011年10月4日、神戸大学)
 (発表資料: pdf形式

・大気圏シンポジウムでの EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2012年3月1日、宇宙研)
 (発表資料: pdf形式


EISCAT_3D デザインスタディ

2005年5月1日より4年間の EISCAT_3D デザインスタディが実施されました。 このデザインスタディでは、EISCAT本部、Tromsoe大学(UIT)、Lulea工科大学、 RAL等が中心となって進めてきています。 このデザインスタディのために、EISCAT協会からは、年間約3.5名分の予算を捻出し (EISCAT評議会報告書より)、さらに EU から200万ユーロ(全体の約半分)の サポートを受けています。 2009年4月末のデザインスタディ終了時 に最終報告書が作成されました。
最終報告書は こちら (英語(pdfファイル、3MByte)、EISCAT協会本部より)に。

関連する会議や発表:

EISCAT_3D 計画のパンフレット(現在は英語版のみ)

・第1回 EISCAT_3Dユーザーミーティング
 (2009年5月28-29日、ウプサラ・スウェーデン)
 ミーティングプログラム  と   ミーティングメモ
 EISCAT本部内に保管された発表資料などは こちらに。

・SGEPSS秋学会での EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2009年9月30日、金沢)
 (発表要旨: MS word形式)  (発表資料:ppt形式 & pdf形式

・極地研シンポジウムでの EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2009年11月12-13日、東京)

・MTI研究集会での EISCAT_3D に関する発表
 (2009年11月30日-12月1日、京都)
 (ポスター発表資料: pdf形式

・南極昭和基地大型大気レーダー計画(PANSY)研究集会
 での EISCAT_3D 計画に関する発表
 (2009年12月9日、東京)
 (発表資料: pdf形式


欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)

EISCAT_3D計画は、 欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)のロードマップ (pdf) に2008年12月に採択されました。
© 2017 EISCAT 国内推進室