深層掘削
(概要)
掘削深:1105.12m、掘削回数:53回、週掘削長:180.92m、平均コア長:3.42m
日曜日の22:00から月曜日の20:30までドリルの電気配線及び信号系の修理のため掘削の中断を余儀なくされた。12月29日03:20に1000m突破。ドリル内へのチップ回収が今週も不調になっており、掘進長3mを超えるとチップの高充填となり電流値が急に上昇するため掘削終了となる。ブースターの数や位置、カッターのすくい角、シューの高さ、コアバレル回転速度など、いろいろ調整を行ってみるが、いまだベストの方法が見つかっていない。チップ逆止弁が働かないことも多く、ブースターに区切られた最下段のチップ室とコアバレルの外側が洗い流されたようにきれいなことがある。チップチャンバー内の駆動シャフトにチップ流出防止用の工夫をしたのが効果があるようである。氷中の気泡がクラスレートハイドレートへほぼ置き換わったため氷は透明になり、地上で1.5m毎にバンドソーで切断するときも楽になった。但し、氷の質がかわり、掘削チップも変化し、ドリルへのチップ収納及び掘削方法に、今以上の工夫が必要になってきている。1月1日は休日日課とし、ドリルやウインチの点検・整備を行った。
火山灰層発見。1072.55m-1072.69m。深いほうが濃くて(1072.64-1072.69m)、浅いほうは薄い(1072.55-1072.64m)。
{一日の区切りを午前8時から翌午前8時までとする}
<12月26日(日)>
掘削深941.53m、掘削回数5回、日掘削長17.33m、平均コア長3.47m、チップ回収2回。
チップ回収を朝シフトで行う。2回実施して7.7kg+5kg=12.7kg回収。最近、掘削時の取りこぼしが多いが、チップ回収機ではそれほど回収されないし、ドリルの昇降時の抵抗はない。カッターマウントのガタツキを直した2号機-1コアバレルに35度カッターとシューP4をつけて2回掘削。切削は順調であるが電流値が3.5A以上と高い。逆止弁とコアキャッチャの不具合があったので1号機コアバレルに交換して3回掘削。やはりチップの収納が完璧ではないので、シャフトにつけているブースターを50mmで1巻から3/4巻と弱いのに変えて均等なチップ充填を試みている。途中で中継コンピュータのトランスから煙発生。トランスを交換して掘削を続けるがヒューズが何度も飛ぶ。Run#0239の掘削終了後、22:00から修理開始。最初は中継コンピューターの故障との疑いで、ロジックパワー回路の電源部(コンデンサとダイオード)を交換するが症状は変わらない。結局、アンチトルク以下のドリル内への配線の不具合と判明。配線を交換したり、コネクタの再接続を行った。この際、耐圧室に液封液が多少漏れていたので、耐圧室、ドリルモーター、減速機をそっくり交換した。組み上げて地上で正常なのを確かめてから掘削孔に下ろしたら、液中200m深で再度中継コンピュータヒューズ切れ(翌日のシフトに持ち越し)
<12月27日(月)>
掘削深962.80m、掘削回数6回、日掘削長21.27m、平均コア長3.55m。
地上で動作確認したドリルを掘削孔に下ろして200m深付近での中継コンピュータのヒューズ切れ。原因不明であるが、一番疑い深いアンチトルクを交換した。コントロール室で通信系とモーターが回ることを確認してから掘削場に持ち出し、耐圧室にドリルコンピュータをセットして試運転を行ったら、再び中継コンピュータのヒューズが飛ぶ。コントロール室に持ち込んでいろいろチェックしていると、ドリルコンピュータとの通信が途切れた。ウインチケーブルは絶縁抵抗計で異常がないことを確認。ドリルコンピュータからの通信はデジタルストレージスコープで送信されていることを確認。中継コンピュータの故障が疑われ、基盤の交換等を行っているうちに自然復帰してしまった。そこでもう一度アンチトルク以下、ドリルモーターまでを接続して試運転OK。ところが耐圧室に入れるとまたショート。今度は原因がわかった。先日耐圧室への液封液侵入の原因となった耐圧コネクターを修理したが、ロジックパワー線がショートするようになっていた。これを別の代替品と交換し、一連の修理終了。丸一日ぶりに20:30掘削再開。最初の掘削でチップ逆止弁が充分働いてチップ室とコアバレル外側にチップ満載。2回目の掘削ではコアトップにチップが50cmも載っていた(1回目は無し)。
<12月28日(火)>
掘削深1008.99m、掘削回数13回、日掘削長46.19m、平均コア長3.55m。
Run#244まではドリル内にチップ満載。それ以降、24-25kgしか収納されない。逆止弁の不調か。チップチャンバー内にブースターを入れているが、それに区切られる下段とコアバレル周囲が洗い流されたようにきれい。中央と上段にはチップはパックされている。35度のカッターだと電流値が3.5A以上と高いので40度のカッターを使ってみる。電流値は下がるがコア表面はがたがた。
12月29日03:20、深夜RUNで1000m突破。
拡大写真
<12月29日(水)>
掘削深1050.34m、掘削回数12回、日掘削長41.35m、平均コア長3.45m。
Run#259で地上にドリルを回収してコアバレルを抜き出すときにチップチャンバー内にチップつまりで動かなくなり、ジェットヒーターで暖めて救出。なおこの際に、ハンドウインチのラチェット爪が破損した。この日はカッター調整やシャフトにつけるブースター調整。ブースターを4つにすると、3つよりチップのパッキングは分散されるようである。またブースターで区切られる下段にチップ流出防止飾りをつけたら、コアバレルまでチップは流されず、30kg回収に成功した。深夜の掘削はチップの収納が悪く、3m以上のコアを掘削しているが20kgしかチップが回収されない。ドリルモーターの電流値の上昇が早くに生じる。ブースターを3個の状態に戻すが症状は改善されない。
<12月30日(木)>
掘削深1091.84m、掘削回数13回、日掘削長41.50m、平均コア長3.19m。
2号機シャフトのブースターで区切られる下段にチップ流出防止飾りをつけた掘削を行うとチップ回収量は30kg前後と効果があるようであるが、3m程度の掘削しか出来なく、コア径が2-3mm細い。コアバレル1号機のシャフトのブースターを4個に戻すと3mまでは順調な掘削で、その後電流値が急上昇し、3.3m程度のコアが精々である。チップの逆流防止弁を効果的にしようと、スプリングを2個外してみるが、効果のほどはない。40度のカッターは電流値が低いので、通常は50rpmで駆動しているが60rpmでコアバレルの回転速度を上げてチップ回収効率があがるかどうかを試みている。深夜シフトで掘削途中で電流が上昇するのでブースターを3個の従来型にしてみるが、やはり3m程度で電流上昇。ドリルカッターは欠けやそり曲がりがあるので、交換する頻度が高くなっている。ドリルを上昇中に掘削孔ケーシングパンにカッターマウントかカッターが引っかかり、外れたので修理。
火山灰層発見。1072.55m-1072.69m。。深いほうが濃くて(1072.64-1072.69m)、浅いほうは薄い(1072.55-1072.64m)。
<12月31日(金)>
掘削深1105.12m、掘削回数4回、日掘削長13.28m、平均コア長3.32m。
40度のカッターだと電流値は3A以下であるが35度のカッターだと3A以上である。コアバレル2号機-2で35度のカッターでシャフト下部にチップ流出防止飾りをつけると、チップは2回とも30kg以上と満杯であるが電流値が高く3m以上のコア掘削が難しい。コアの表面は40度カッターでの掘削より美しい。逆流防止弁の板バネを加工し、強く外側に出るようにしたら、最後のRUNで効果があり、コアバレルにチップが2筋残っていて30kg以上のチップが得られた。氷中の気泡がクラスレートハイドレートになったので氷の質がかわり、掘削チップも変化し、ドリルへのチップ収納及び掘削方法に、今以上の工夫が必要になってきている。年末であるので掘削ピットの樋の掃除を行った。
<1月1日(土)>
休日日課
ドリル駆動部の分解整備、減速機グリス交換、ウインチ点検
昨日まで液封液使用本数 64.5ドラム=12,900L
3号発電用燃料ドラム:15本カラ、70L/日の使用
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