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2nd深層掘削レポート 4(04'12.19-12.25)

第四週(12月19日(日)から12月25日(土))
天気概況
天気概況:9日が快晴だった以外は、全般に上層雲が拡がりやすく、降雪が観測される日が20-23日の4日間と多かった。さらに、週末になると中層の雲が多くなった。24日にもや、25日に高い地吹雪が観測され、ほぼ毎日細氷が観測された。風は週の初めはおおむね3〜4m/sと穏やかだったが週末に向け次第に7m/sほどまで強くなった。
観測結果:平均気圧614.1hPa、最高気圧616.8hPa(24日)、最低気圧611.0hPa(19日)、平均気温-31.4℃、最高気温-23.2℃(25日)、最低気温-41.2℃(19日)、平均風速4.5m/s、最大風速7.8m/s(25日)、最大瞬間風速10.8m/s(25日)
深層掘削

(概要)
 掘削深:924.20m、掘削回数:87回、週掘削長:314.29m、平均コア長:3.59m
 19日8時から24時間掘削を開始した。土曜日の14:30まで08:00-12:30(DA1)、12:30-16:30(DB1)、16:30-20:00(DA2)、20:00-24:00(DB2)、00:00-08:00(DC)。深夜のDCのみ2名、他は3名のシフトである。週の前半は掘削及びドリル内へのチップ回収は順調であり、一日に50m以上掘削できた。後半はドリル内へのチップ回収率が不調になってきた。ブースターやカッター、シューの調整をいろいろ行ってみるが、いまだベストの方法が見つかっていない。今週は氷中の気泡がクラスレートに置き換わる破砕帯(Brittle zone)の掘削でコア処理には苦労したが、深さ900mを超えてからは地上で氷が自然に割れることも少なくなり、氷の透明度も増してきた。なお幅4mmの薄茶色の火山灰層が深さ658.946-658.950mに発見された。
{一日の区切りを午前8時から翌午前8時までとする}


<12月19日(日)>
 掘削深663.53m、掘削回数14回、日掘削長53.62m、平均コア長3.83m、チップ回収1回。
火山灰層の発見した。深さは658.946-658.950mで厚さ4mm、薄茶色であった。ウインチケーブル繰り出しすぎて、一部巻き直しを行った。マストの直立位置が、先日のマストに蓋開閉ひもが巻きついたまま動かしたため、ずれていてドリルがマストに引っかかり易くなっていたのを、掘削ピット底の足場材、単管の調整で元通りに直す。掘削は順調。


<12月20日(月)>
 掘削深715.94m、掘削回数14回、日掘削長52.41m、平均コア長3.74m。
 Run#0166の氷コアボトムのコアカット不調で取り残し多く、次のRun#0167のコアトップに多量の氷小片が乗っていた。ケーブル長で測定すると65cm、氷の重量測定で換算すると61cm、おおむねOKとした。
 夜半のシフトでは、いろいろ試してみた。1号機のコアバレルで掘削するとチップが24kg程度しか収納されない。刃が出すぎていてピッチが大きいためか、電流値が高く、実測ピッチが4mm以上のときもあった。また、 ウインチでドリルを引き上げているときの張力が高く、中空シャフトのつまりであろうか、、、等々問題があるので、いろいろと試してみた。コアバレルを2号機-2に変更、シャフトも2号機用に交換。1号機と2号機の違いはスーパーバンガー。2号機のほうが、丈夫になっているが、最大採取コア長は10cm程度短い。今までのシューP4、35度カッターで掘削してみるが、1号機と同様であるが、チップは29kgと充分収納された。刃先の出を抑えるため、シューに0.05mmのシム(スペーサー)を入れてみる。P5とP3の差0.27mm。すなわち3+(1-0.05/(0.27/2))=P3.63になる。2回掘削したが初期のドリルモーター電流は低い。また氷温が-55度から-50度に上昇し、やわらかくなっている可能性もあるのですくい角40度のカッターに交換しP3.63で掘削してみる。接地圧や電流変化などは35度とほとんど変わりないが、採取された氷コアをみると、表面はすりガラス状になっている。昨年と同様の結果で、しばらくは35度で行くことにした。

<12月21日(火)>
掘削深770.74m、掘削回数15回、日掘削長54.80m、平均コア長3.65m。
 掘削はコアバレル2号機-2で35度、シム0.05mmで順調に掘削。1号機スーパーバンガーには一部損傷があった模様。1号機シャフトを乾燥させるためドリル作業室に入れる。脱水機の排水系に凍結がときどきあるので、手入れがしやすいように、回りのカバー切断。本日もRun0184の取り残しコアが多量の小片コアとしてRun#0185のトップにあった。ケーブル長が不安定なので重量法で深さを決定した。Run#0188でチップ室の下端から測った3600mm位置のブースターが2750mmまで下がる。チップ押し上げ(押し下げ)力に取り付けねじが負けて下げられた。ブースター自身もチップの充填するときの力で上から下に変形している。1800mmと3600mm位置のブースターを100mmに交換(二つ)。しかし、掘削後、いまいちのチップ収納であったので、次のシフトでブースターを50mm修理品に取り替えた。深夜シフトでシムを0.02mmにする。掘削は順調。

<12月22日(水)>
 掘削深819.40m、掘削回数13回、日掘削長48.66m、平均コア長3.74m。
 曲がった50mmブースターを修理して交換。氷は未だパチパチと不安定である。掘削は順調。カッターを新品に取り替えてシムを0.02mmにしたのは、切削スピードが、特別速い。

<12月23日(木)>
 掘削深870.41m、掘削回数14回、日掘削長51.01m、平均コア長3.64m。
 掘削孔パン掃除、フィルターの目が詰まっている。チップは少なくブチルが溜まっていた。掘削の電流値が高く、カッター交換してみるが、あまり効果なし。チップのチップ室への充填に難があるので(不均一)ブースター位置の調整を試みる。いろいろ位置を試してみるが、上部でハードパックされてしまう。解決法がわからない。

<12月24日(金)>
 掘削深910.48m、掘削回数13回、日掘削長40.07m、平均コア長3.08m。
 掘削時の電流値が高く、掘削スピードが遅いので、カッターが下手っているとの判断で新品に交換するが、電流値は相変わらず高い(3A以上)。Run#0221でアンチトルクが効かなくなる。角が下手っていた。新品に交換してOK。Run#0222でコア径が細くでこぼこなので2号機-2コアバレルがどこか不調と判断し、それ以降1号機コアバレルにする。2号機-2カッターマウントを外してシューやカッターの高さを調べたが、シューは3枚とも同じ高さであったが、カッターの高さが最大0.03mm異なっていた。1号機コアバレルは順調に掘削できているがチップ回収が不調。1号機スーパーバンガーコアバレル固定ピン1個交換。1号機コアバレルとスーパーバンガーの着脱に難があったが、すり合わせ修理でスムーズに着脱できるようになった。1号機のチップ収納であるが、トップと中間は満杯であるが、下とコアバレルの周りがチップなし。掘削後逆転させて逆止弁を作動させているが、不調なのであろうか。。2号機-2に変更するとチップ収納はOKだが掘削スピードが遅くコア径が93.5mm前後と小さい。カッターの高さは調整しているが、どこかで軸(芯)がずれているのであろうか?

<12月25日(土)>
 掘削深924.2m、掘削回数4回、日掘削長13.72m、平均コア長3.43m
 1800mmと3600mm位置のブースターを50mm3/4巻きにに変更すると、ゆるいパッキングのためか、全体にパッキングされ、30kgと充分な収納であったが、2回目からはチップ回収量が少ない。コアキャッチャー倒れ防止ねじを2個交換。コアの外径がガタガタで、コアバレルとカッターマウントの軸調整、あるいは刃のセット調整不足、要調査、調整。採取される氷コアは透明度を増してきて、地上で割れることもなくなってきた。3号発電機の500時間点検。21ドラム分のチップ廃棄。今日までに液封液47本使用。

コア現場処理

先週の報告の中で電気工事が抜けていました。12月16日から電気工事を開始していました。


<12月19日(日)>
 コア現場処理実施せず


<12月20日(月)>
 コア解析トレンチの電気工事。コア解析関係物資をトレンチに搬入。ラインスキャナー暗幕取り付け。温度緩和空間の棚交換。

<12月21日(火)>
 コア解析トレンチの電気工事

<12月22日(水)>
 コア一次貯蔵庫1(旧ブチル庫)に温度ロガー(KADEC-US)を設置。コア解析トレンチの電気工事。

<12月23日(木)>
 コア解析トレンチの電気工事。水平バンドソーのロボットモジュールを始動したが、低温のため動しなかったので、電気毛布で暖めた。ECMとラインスキャナーのロボットモジュールは電気ストーブで暖めたところ、正常に運転。ラインスキャナーのセンサー部取り付け。コアの50cm切断用マキタ簡易バンドソーの取り付け、コア樋の作成。

<12月24日(金)>
 コア解析トレンチの電気工事。水平バンドソー2台、ECM、ラインスキャナーの調整。

<12月25日(土)>
 コア解析トレンチの電気工事。ECMとラインスキャナーの調整。水平バンドソーの切断条件を検討後、最初のコアを切断。