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深層掘削レポート5(04'1.5-04'1.11)

概要
 先週に引き続き、深層掘削システムや周辺設備を調整しながら、深層掘削を実施した。掘削回数は25回で90.45mの氷コアを採取した。1回の掘削で採取する平均コア長は3.6mで1本ものがほとんどである。1/80の減速機を組み込み切削ピッチに合わせたウインチ繰り出しスピードにセットすると、おおむね3m深までは安定して掘進する。そのあとは切削チップの輸送・充填が困難になり、時間がかかる。明瞭な火山灰層を220.440-220.445 に確認した。来シーズンの本格掘削に向けての最適掘削条件を見出す(掘削マニュアル作成)のに来週いっぱい時間をかける。掘削されたコアは15m毎に切断し、コアデポ雪洞のコア棚に収納している。

 コア現場解析準備関連の作業は一通り終了した。ロボットモジュールコントローラーの件については、国内と連絡を取りながら点検した。その結果、航空機あるいは「しらせ」にて国内へ持ち帰る物品を決定した。なお、現場解析準備作業がないときには、担当者である鈴木さんには深層掘削作業に加わってもらっている。

なお先週の報告中、1月2日のドリル減速機は減速比1/80の間違いであった。

Total weekly production: 90.45 m Drilling depth: 260.41 m

1月5日(月)
深層掘削:
掘削回数5回、チップ回収2回、日掘削長19.20m、掘削深189.16m

 先週、アンチトルクが外れることがあったので、アンチトルク調整用筒で再調整。90度強くした。5回の掘削は、1号機のコアバレルにすくい角35度のカッターとピッチ3のシューで行った。シャフトのブースターは100mmを中央と下端の2ヵ所に取り付けた。駆動部の減速機は1/80である。それぞれコアバレルいっぱいの3.82、3.82、3.83、3.83、3.84mの氷コアが採取できた。切削中の電流値も1A台で安定していた。5回の掘削終了後、チップ回収を行った。細メッシュの4mチップ回収器を用いて、それぞれ6.5kgと2.0kgのチップを回収した。深層ドリルによるチップの取りこぼしは、非常に少ない。

コア現場解析:
大型ミクロトームと、その関連物資を新掘削場に集積した。現場解析関連の作業は一通り終了した。ロボットモジュールコントローラーの件については国内からの連絡待ちである。
1月6日(火)
深層掘削:
掘削回数5回、日掘削長18.50m、掘削深207.66m

 シャフトとバレルを1号機から2号機に変更した。最初の掘削は2号機のコアバレルにすくい角35度のカッターとピッチ3のシューで行った。シャフトのブースターは100mmを中央と下端の2ヵ所に取り付けた。駆動部の減速機は1/80である。3.74m氷コアを採取したが、掘進スピードが遅い。そのため2回目から5回目はピッチ5のシューに付け替えた。それぞれ、3.74、3.60、3.75、3.64、の氷コアを採取した。掘進スピードは速くなったが、電流値や接地圧がゆれる。

1月7日(水)
深層掘削:
掘削回数4回、日掘削長14.72m、掘削深222.38m

 月曜日と同じ仕様の1号機のバレルとシャフトで掘削した。最初の3回はピッチ5のシューで掘削した。それぞれ3.66、3.83、3.38mの氷コアを採取した。
 接地圧が30%から35%ののこぎり刃状の変動になり、自動的に接地圧があがると切削し、下がると一時停止になる。3回目の掘削で電流値が4A以上となりモーターが駆動しなくなった。耐圧室から取り出して調べたら減速機から異音がする。減速機を同じ減速比1/80に交換した。
 最後の掘削はすくい角40度のカッターで行い、3.84mの氷コアを採取した。前半は接地圧が周期の長いのこぎり刃状だったが後半は周期が短くなった。掘削終了後ドリルモーターが動かなくなり原因究明したが不明。

1月8日(木)
深層掘削:
掘削回数3回、日掘削長11.15m、掘削深233.53m

 ドリルモーターが回らない原因究明のためあらゆる配線をチェックしたが不明。結局、ドリルモーターとドリルコンピューターのコネクターが接続不良だったことが判明。耐圧室内のレールの長さが微妙に違っていて、その止め具をはずすことで解決。
 昨日と同じ仕様の1号機のバレルとシャフトで掘削した。すくい角40度のカッターでシューをピッチ4に変更した。それぞれ3.66、3.64、3.83mの氷コアを採取した。3mまでの掘進は快調であるが、その後掘進スピードを下げて慎重に掘削する必要がある。チップの輸送が困難になるためであろう。
 最後の掘削終了後、バレルを抜き出すときに高密度パッキングし、引き抜き困難になったが、手巻きウインチでようやく引き抜いた。このチップの乾き密度は610kg/m3であった。

コア現場解析:
正常動作しない4台のロボットモジュールコントローラーにつき、アナログテスターを用いて、再度バッテリーチェックを行った。電圧はいずれも3.6〜3.7Vを示し、正常であった。正常動作しているコントローラーのバッテリーと正常動作しないコントローラーのそれを交換しても動作は同じであった。国内から送付された確認マニュアルに基づき、コントローラーセンサーコネクタ部の抵抗と電圧測定を行った。動作不良の原因はエンコーダーリセットリレーではないことが確認された。
1月9日(金)
深層掘削:
掘削回数5回、チップ回収1回、日掘削長18.84m、掘削深252.37m

 昨日と同じ仕様の1号機のバレルとシャフトで掘削した。ピッチ4のシューでカッターをすくい角35度に変更して3回掘削し、それぞれ3.83、3.52、3.83mの氷コアを採取した。残りの2回はピッチ3のシューに変更し、それぞれ3.83m、3.82mの氷コアを採取した。いずれも3mまでは快調な掘進であるが、それ以降掘進スピードを落とさないと接地圧があがり、微妙な調整が必要である。
 最後にチップ回収を行ったが、3kgしか回収できず、掘削孔内は残チップがほとんどなく、きれいな状況である。

コア現場解析:
正常に動作しているロボットモジュールコントローラーのパワーアンプ基板を、正常動作しない4台のコントローラーのそれと入れ換えて動作テストを行った。その結果、4台とも正常に動作することを確認した。逆に不調コントローラー4台のパワーアンプ基板を正常動作しているコントローラーに装着したところ正常に動作しないことを確認した。動作不良の原因はパワーアンプ基板上にあることが確認できた。
1月10日(土)
深層掘削:
 掘削回数3回、日掘削長8.04m、掘削深260.41m

 1号機のバレルとシャフトにすくい角35度のカッターとピッチ3のシューで掘削した。最初の掘削で3.84mの氷コアを採取したが、コアトップがスーパーバンガーにぶつかって砕けていた。今後は3.80m程度の掘進に抑えることとした。
 チップの充填を良くするためブースターを下から3600mmにセットした。2回目の掘削で3.79mの氷コアを採取したが、このときにバレルを抜き出すときに、チップチャンバー内でチップがさらに圧密してしまい、とうとうカッターマウントホルダーのワイヤーが切れてしまった。シーブのロードセルの記録から1260kg以上の張力がかかっていた。ブースターを上にあげたので、その下のチップ量が多くなり、圧密抵抗が増したのであろう。
 一時休戦で昼食後カッターマウントホルダーのワイヤーを修理して再度バレルの引抜をおこなったところ、すんなりいった。昼食時にチップとともにあった液封液がある程度抜けたためかと思われる。なお、下のブースターに続いて1mの隙間があったので、この部分にあったチップが圧密されたようである。
 そこでブースターを1つ増やして一番下と1800mm上と3600mm上につけた。次の掘削で着底し掘削しようとするがアンチトルクがはずれる。2.5Aでケーブルに振動あり。おかしいので地上にあげてチェックしたらコアキャッチャが1枚倒れたままで固定されていた。
 最後の掘削では通常にバレルを回転させながら着底させるとアンチトルクが外れたため、もう一度アップさせ慎重に降ろして切削開始。ところが掘進速度は遅いのに接地圧が50%以上にもなる。調子がおかしいので掘削終了させ0.41mの氷コアを採取したが、コアキャッチャが2枚とも倒れていて、これでコアを削っていた。コア長0.41mの最初の4cmは前の掘削で完全にコアキャッチャが倒れて固定されて掘削したため直径が75.6mmしかない。後半は斜めに固定されていて直径87.6mm。
 1号機、2号機のカッターマウントをはずして、コアキャッチャの取り付け方法について検討した。このコアキャッチャが倒れすぎないように、キャッチャマウントに1.5mm高のビスを埋め込むこととした。これにより、掘削最初に取り残しのコアを傷つけることもなくなるであろう。

コア現場解析:
 コントローラーの内、正常なNo.4全体およびNo.1、2、3のパワーアンプ基板抜きの物をドーム基地残置、No.5全体およびNo.2、3のパワーアンプ基板をしらせで持ち帰り、No.1のパワーアンプ基板を航空機で持ち帰ることとし、それぞれ梱包した。
1月11日(日)
  • 休日日課
  • 各自作業
  • 掘削場整備
  • 1号機カッターマウントのキャッチャマウントに1.5mm高のビスを埋め込む
  • 掘削作業打ち合わせ
  • 全体会議