南極内陸部から日本まではどうやってアイスコアを運ぶの? 合計約14トンにおよぶアイスコアは、以下の流れで日本に向けて送り出します。
まず、ドームふじ基地で、輸送用の橇に積載し、南極氷床の上を約1050km輸送し、沿岸にあるヘリコプターの空輸拠点まで輸送します。
空輸拠点で、砕氷艦「しらせ」のもつヘリコプターに積み替え、砕氷艦「しらせ」上に搭載された冷凍物資用コンテナに積み替えます。
こうして「しらせ」に積載されたアイスコアは、南極から日本までの長い航海を経て、日本に送り届けられます。
アイスコアは、現在は主に、東京都立川市にある国立極地研究所に輸送し、そこに保存されています。アイスコアの一部は、札幌市にある北海道大学低温科学研究所に保管されているほか、首都圏の大震災などの災害への備えとして一部を仙台市にある冷凍倉庫に貯蔵しています。
写真左:橇に段ボールを積載し、断熱のシートで覆いをかけた。強い日射によるアイスコアの昇温を防ぐための輸送法(2005年)
写真右:同様にアイスコアを積載した橇列の作成(2018年)
写真左:アイスコアを積載した橇をけん引する雪上車。この雪上車で、約1000km牽引します。行程は約3週間かかります。
図右:雪上車による約1000kmの輸送経路。沿岸でヘリコプターに移し替えて、砕氷艦「しらせ」へ空輸します。
写真左:アイスコアを搭載した橇の付近に「しらせ」から大陸上に飛来したヘリコプターが到着したところ。このタイミングで仮に悪天に遭遇してしまうと、ヘリコプターが現地へ飛ぶことができず、その間にアイスコアが現地の気温である-10℃程度まで昇温してしまいます。好天時にこの沿岸の輸送拠点に到着できるように気象状況を慎重に見計らって行動します。
写真右:ヘリコプター内に積載されたアイスコアが甲板に降ろされたところ。これから冷凍コンテナへ入れます。
2004年~2007年にかけて掘削した3035m長のアイスコアは、段階的に日本国内に向けての輸送を続けてきましたが、2018年4月までに全アイスコアの日本に向けた輸送を完了しました。