南極観測隊便り 2018 - 2019


2018/12/03

ノルウェーからの同行者の受入準備11/23 - 11/25

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
11/23
前日11/22夜に、ノルウェー人同行者を乗せたフライトが11/23夕刻に来る可能性について連絡がありました。着陸に適した積雪表面として、MD180を選択し、ここへ移動しました。晴天のなか朝一番に移動し、そして種々の準備にとりかかりました。車両4台を活用した滑走路整備や、飛来する航空機に給油するための燃料ドラムの設置。人数が増えたときの居住に対応できるように雪上車内の整理や、布団等睡眠関係装備の整理等。天候は非常に良く、夕方に向けてさらに穏やかさが増してきたため、飛来するのではないかという期待がありました。しかし、結果的には、ノルウェー人同行者を乗せた航空機は、経由地のベルギーのプリンセスエリザベス基地までは午後後半に到達したものの、この日に私達のところへ飛来するのはパイロットによる判断で中止となりました。航空機の移動範囲は広く経路の気象状況も重要であるため、各離発着地点や経由地の気象条件が整わない限りフライトは困難になります。MD180まで来て、標高は約2800メートル。夜の気温はマイナス30℃を下回るようになってきました。


11/24, 11/25
降雪をともなう高い地吹雪で荒天のため、フライトはこれらの二日間も無しとなりました。筆者が寝起きする雪上車で、起床時の車外の気温は-30℃、車内は -10℃になっていました。特に寒さを実感した日々でした。冷たい風は車両の内外の熱を急速に奪っていきます。車内の水は凍り、起床後にます触るものは全て -10℃。まるで国立極地研究所の低温室の温度設定のようです。コンロの設置に手間取り、触るものはとにかく冷たい。前日の夜に火をつける直前のところまでしっかり準備しておけばよかったとつくづく思ったものでした。前日から、航空機のフライト実施には適さない天候が予報されていましたが、それが的中していました。この機会に、写真を整理したり、対応が遅れ気味になっていたブログの原稿を作成し国内へ送りました。雪上車の移動が多いときには、早朝から夕刻まで作業が続き、なかなかデス
ワークに対応する時間を見つけるのが難しいのです。

結果的には、フライトを実現できる天候状況の出現と同行者の到着を待つために、この地点に11/23夕刻から11/27朝まで滞在することとなりました。こうしたときには「待ち」が基本です。そして、フライトは翌11/26に実現します(!)。



写真1: 地吹雪で埋まり気味の橇(11/25 川村撮影)



写真2: 地吹雪で埋まり気味の雪上車列。1つの雪上車から隣の雪上車への移動には、吹きだまりの上をのぼったり下ったりすることになります。
油断すると転倒しかねません。眼をしっかりあけて地表の起伏をみるには、ゴーグル着用が必要です。(11/25 川村撮影)

藤田記
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