南極観測隊便り 2018 - 2019


2018/11/28

悪天傾向のなかの移動 11/18

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
ブリザード明けの早朝07:00に、天候が一時的に改善したためH288を出発しました。ホワイトアウト状態のなかでしたが、ルートに沿って観測をおこないながら、Z80地点まで約70km移動しました。視界が悪く、雪面の陰影も地平線も非常に見えにくい状態でした。雪面をみても前方を直前に走行した車両のトレースを認識することが難しく、また、前方を走行する車両も、100メートルも離れるともはや視認できません。時折、車載のナビゲーションシステムに頼るナビ走行となりました。運転者にとっては、窓の外の景色の情報や役にたたず、PCナビ画面に現れる位置情報や車速、進行方向、ルートからのずれの情報に注意力を注ぎ込むことになります。こうした状況で、天候は夕刻に向けてさらに悪化しました。この日の午後後半は進行速度が特に落ちました。キャンプインした地点から、みずほ基地到着まで、残りの走行は約20kmとなりました。

この地域は、沿岸からの距離が約200km程度の地域にあり、標高はまだ2千メートル程度です。沿岸に接近する低気圧の影響を強く受ける環境下にあります。標高が2500mをこえるような内陸に入ると、沿岸の低気圧圏内から徐々に脱し、逆に、大陸内陸部をおおう高気圧帯「極冠高気圧」の圏内にはいっていくことになります。降雪を伴う雲も進入して来にくく、そこでは晴天となる確率があがってきます。昨年同時期に内陸ドームふじに向かった内陸調査チームも、ちょうどみずほ基地手前のこの地域でブリザード停滞(ブリ停滞といいます)し、1地点で合計5日間の足止めとなりました。今年のブリ停滞の足止め日数はまだそこまでは行っていません。

11/18 夕刻の天気状況
天気:吹雪、雲量10、視程0.1km以下(下の写真)


写真:夕刻にキャンプ体制に入る際に、約数十メートル先を走行する車両と橇が上のように見えました。こうした天候では、進行効率が著しく落ち、様々なリスクも増大することになります。キャンプ体制の構築までも、通常より多くの時間がかかりました。翌日は朝から同様の天候で、ブリ停滞することになりました。

藤田記
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