低温実験室は、目的と設定温度範囲に応じて下の表に示す9室が設置されています。使用にあたっては、利用申請書をあらかじめ提出し、施設使用許可を受けることが前提となります。また、極めて特殊で過酷な環境であるため、事前に担当者による安全指導を受けることを前提とします。
国立極地研究所の低温室は、各種の近代的な機能をそなえています。実験室の共通仕様としては、照度負荷を600 lxとし、LANコンセント、ダイヤルインが設置されています。また、監視カメラ、非常用ブザー等を活用した安全管理が実施されています。また、各実験室には、小扉、小窓、それに配線や配管のためのカラ配管が設置されており、隣接の低温室や常温室を活用した実験の実施を可能にしています。
尚、所内の定期ユーザーが低温実験室の温度変更を希望する場合は、
こちらのページ(所内アクセス限定)に従って下さい。不明な点は、teionsitu[at]nipr.ac.jp ([at]を@に変換して下さい)までお問い合わせ下さい。
表1: 低温実験室および前室の一覧室名 | 主用途、および、仕様特徴 | 室温 | 面積(m2) | 天井高(m) | 対流方式 |
雪氷コア解析室 | 雪氷コアの初期処理・解析。*主な設備・・・立ち作業台、水平バンドソー1台、垂直バンドソー2台、光学透視台、結晶C軸方位自動測定装置、結晶粒界測定用マクロスキャナー、一般薄片用ミクロトーム2台、氷床コア用大型ミクロトーム2台、誘電プロファイル法(DEP)計測装置、固体表面電気伝導度(ECM)計測装置 | -20±3℃ | 60.5 | 2.7 | 自然 |
低温 クリーンルーム | 雪氷コアを主とした低温試料の無汚染処理。クリーンクラス10000。*主な設備・・・実験作業台、クリーンベンチ等
低温クリーンルームの利用要領については低温クリーンルーム使用上の注意.pdfをお読み下さい。 | -20±5℃ | 38.6 | 2.7 | 自然 |
低温環境実験室 | 極域環境の再現による測器試験。トレンチがあり、寸法は縦・横・深さがそれぞれ2 m・1 m・1.5 mである。最深部は1m x 1mの領域。氷掘削実験や訓練が可能。*主な設備・・・実験作業台 | 0℃〜-30℃可変 | 53.9 | 4 | 強制 |
低温生態実験室 | 生物研究を主目的とした実験室。低温生物飼育・低温培養実験可能。 | +5℃〜-10℃可変 | 33.1 | 2.7 | 強制 |
低温実験室A | 低温環境実験全般。雪氷コア解析室と隣接し、小窓でつながっており、連動した使用が可能。現状では雪氷コア解析用の機器を常時配置している。 *主な設備・・・実験作業台、氷床コア固体電気伝導度測定機(ECM, ACECM)、光学層位測定用透過光ラインスキャナー、近赤外光反射光ラインスキャナー、マイクロ波誘電率テンソル計測装置、ガンマ線透過法密度計測装置、他 | -20±3℃ | 28.8 | 2.7 | 自然 |
低温実験室B | 低温環境実験全般。特定の装置の配置がなく、自前の装置を搬入しての利用の自由度が高い。*主な設備・・・実験作業台 | -20±5℃ | 10.8 | 2.7 | 自然 |
低温実験室C | 同 上 | -20±5℃ | 14.6 | 2.7 | 自然 |
低温実験室D | -50℃までの超低温環境を利用する実験や、南極内陸観測用機器などの長期低温実験等。
現状では、-50℃環境で保存する必要のある氷床コアの増大をうけて、氷床コアの超低温貯蔵に用いている。 | -50±5℃ | 14.6 | 2.7 | 自然 |
低温実験室E | 海洋実験・生物実験を主目的とした実験室。Wet Lab.として使用可能。 | -20℃〜+10℃ 可変 | 51.8 | 2.7 | 強制 |
写真: 順に、雪氷コア解析室(左上)、低温クリーンルーム(左下)、低温環境実験室(右下)