南極観測隊便り 2017/2018


2017/11/16

機械担当隊員の仕事(その1)

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南極ドーム旅行ブログを楽しみにしている皆さん、こんにちは。
私はこの隊の雪上車のメンテナンス、修理を担当しています、小林正喜です。

今回のドーム旅行には5台の雪上車に10人乗車して目的地を目指します。
そのうち4台は長岡にある大原鉄工所製のSM100、一台はドイツ製のPB300。
今日はPB300のお話です。

私たち10人は第58次隊の越冬隊員の支援を受けてS16地点で荷物の整理、積み込み、出発準備中5日間の最終日にPB300の修理をしました。

このPB300(ピステン)の運転整備の担当は伊藤太市さん。彼はこのピステンをこよなく愛す男。スキー場での運転歴も長く、長野オリンピックのスキーコースも手掛けたことのある超一流。ピステンのすべてを知り尽くした男。南極でピステンに乗りたいから観測隊になったほど。その彼が11/12の朝「なんだか変だ 腰がない ふらつく…」など抽象的なことを言い出す。調べてみると、右一軸目の転輪のサスペンション・トーションバースプリングが折れていた。全部で10輪もある転輪の中の一つの不具合を体で感じることができることに恐れ入る。伊藤さんは58次越冬隊、昭和基地で合流した 越冬時にマイナス40℃以上の極寒も体験していて、「極寒の中では金属がもろくなる」と言う。越冬中の除雪でスプリングも弱っていたのかもしれない。医療担当の宮岡隊員と野外支援担当の赤田隊員の協力を得てトーションバースプリングの交換 こんなただの鉄の棒だがこれがねじれてバネの役目をします。出発前に不具合発見ができて本当に良かった。

我々機械担当の二人は3ヶ月間 5台の雪上車を見守ります。

(小林記)

11月15日の
出発地:H128
キャンプ地:H220
標高:約1650m
気温:マイナス13度(18:40現在)
今日の走行距離:約50km







医療と野外支援担当の隊員

11月15日現在までに走行したルート(緑線)
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