第43号(11月24日〜11月30日)
26〜27日にかけて薄雲が拡がった他は、ほぼ快晴の日が続いた。風は弱く穏やかな天候が続いている。平均気圧606.0hPa、平均気温-40.9℃、平均風速4.9m/s。また、最高気温-31.6℃、最低気温-54.0℃、瞬間最大風速8.1m/sであった。雪氷観測では今週も以下の観測を実施した。雪面昇華量(蒸発パン法)、積雪圧密速度(変位計による)、飛雪粒子の粒径数(SPCによる)、露点温度(バイサラセンサー)、毎日の降雪サンプリング、顕微鏡による降雪粒子の観察、上空の降雪粒子分布(シーロメーターによる)。24日、27日には衛星観測と同期させての積雪粒径観測を実施した。また、3m深のピット観測を実施した。
深層掘削準備関連作業としては、深層ドリルの組み立て作業(完了)、コア一時貯蔵部の暖房用ダクトの設置(コア貯蔵庫、コア解析室、完了)、ダクトファン配線、ブチルポンプの配線・配管作業などを実施した。ダクト設置に伴い、ドリル作業室の3号発電機は24時間運転として、28日からコア貯蔵庫とコア解析室への送風(-10度程度)を開始した。3日間の送風で、雪洞内は-51度から-44度(コア解析室)、-41度(コア貯蔵庫)まで温度上昇した。ドリル作業室からの送風はこのまま継続する予定。
また、24日10:10に45次出迎え隊(3名:大日方、栗崎、中野)が雪上車2台でドームふじを出発した。28日には標高3035m地点で滑走路に適した平坦で、光沢雪面の地域を発見し、この場所を航空中継拠点1(ARP1:南緯73度44.10分、東経35度00.30分、標高3035m)とした。29日にここで滑走路の造成作業を実施した。45次航空隊は、30日午後4時35分(時刻はドームふじの地方時、LT=UTC+3h)にノボラザレフスカヤ基地(ロシア)をアルフレッド・ウェーゲナー極地研究所(ドイツ、通常AWIと略記)所属のドルニエ機で出発し、同日午後7時54分、航空中継拠点1に着陸した。45次隊員5名および物資を降ろした後に給油をして、同日午後9時35分、ドルニエ機は航空中継拠点1を離陸した。5名の45次隊員は全員元気であった。今回の航空オペレーションはすべて順調に実施された。
気象では、定常観測と大気混濁度観測を実施した。
設営関連では、造水回路の整備、配水管の修理、帰路の食糧準備などを実施した。
24日深夜には、雲ひとつない快晴の状態で皆既日食を観察した。99%まで太陽が欠けても、空の明るさはあまり変わらない感じだったが、100%欠けた瞬間に急激に暗くなり、空には、コロナに覆われた黒い太陽があった。皆既状態は1分43秒間続いた。皆既日食は初めて見たので、非常に感動した。また、こちらで撮影した皆既日食の写真が国内の多くの新聞の第一面を飾った。
なお、亀田のぎっくり腰はだいぶ良くなり、ふつうに歩けるし、荷物も持てるようになった。他の隊員はみな元気で、特に健康に問題のある隊員はいない。(文責:亀田貴雄)