第二期ドームふじ観測計画−チビロゴ

第44次南極ドームふじ越冬隊週間報告


第17号(5月26日〜6月1日)

 今週は、一時雪のちらつく日もあったが、概ね晴天が続いた。特に27日から29日にかけては、風が弱く気温も高めとなった。平均気圧600.4hPa、平均気温-59.5℃、平均風速4.7m/s、最高気温−49.1℃、最低気温−72.6℃、最大瞬間風速9.9m/s。

 雪氷観測では今週も以下の観測を継続した。雪面昇華量(蒸発パン法)、積雪圧密速度(変位計による)、飛雪粒子の粒径数(SPCによる)、露点温度(バイサラセンサー)、毎日の降雪サンプリング、顕微鏡による降雪粒子の観察、上空の降雪粒子分布(シーロメーターによる)。また、28日には新雪が積もったので、表面積雪サンプリング(250ccx2本)を実施した。30日には36本雪尺測定、表面積雪サンプリン(250ccx2本)、表面積雪密度測定を実施した。

 深層掘削準備関連作業として、深層用ウインチ(重量約2トン)を旧掘削場から新掘削場まで移動させた(移動距離約13m)。当初、この移動作業は困難なことが予想されていたが、実際に実施してみると意外にスムーズに実施できた。新掘削場へ移動中および新掘削場に搬入したウインチの状況を添付写真で示す。なお、今週の作業状況を以下に示す。

26-27日
ウインチ移設用スロープの造成。
28日
ウインチ移設用スロープの整形およびウインチ下部の基礎とつながるボルト取り外し。
29日
ウインチ(重量約2トン)をジャキ3台で持ち上げ、ウインチ下部に単管をいれた。その後、造成したスロープの横方向に角材、縦方向に単管をおき、単管の上を滑らせてウインチを移動した。作業は、水平引き用ウインチ(最大2.5トン用)で引きながら4人でウインチを押す方法で実施し、1時間でウインチを約3m移動させた。人員配置は、作業全体把握1人、ウインチ押し4人、水平引き用ウインチ操作1人の合計6名であった。
30日
昨日と同様の方法により、造成したスロープを使い、ウインチを10m離れた新掘削場まで移動した。10m移動させるのに要した時間は1時間半程度。結局、新掘削場までの13mの移動は実質2時間半程度で終了したことになる。また、検層用ウインチ(重量580kg)を新掘削場から旧掘削場に移設した。
31日
ビデオおよびカメラによりウインチ移設現場を撮影。

 気象では、定常観測を実施した。宙空では、オーロラ観測を実施した。特に29日には赤いオーロラが観察された。
 設営関連では、基地外の燃料ドラム周辺除雪、燃料ドラムの基地内への搬入(27本)、発電機500時間点検、深層ウインチ移動で使用する水平引きウインチ整備などを実施した。

 なお、腰痛者2名も具合が徐々に良くなりつつあり、特に健康に問題のある隊員はいない。30日には4回目の南極ドームふじ大学を開催した。講師は杉田興正氏(気象庁)。演題は「飛べない鳥たちの話」。ダチョウからペンギンまで、地 球上の生息する「飛べない鳥」を紹介。



トップへ

Copyright (C) 2002 by NIPR. All rights reserved.