南極観測隊便り 2017/2018


2017/11/26

11月25日(土) 極寒の洗礼

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皆さま、お元気でしょうか。アルコールを控え始めて丸1週間が経過した医療隊員宮岡です。昨日は、休肝日と称して隊員の皆様にもアルコールを控えていただきました。評判は芳しくないですが、沈黙の臓器と呼ばれる肝臓を守り、3か月という長期に及ぶ野外調査を成功させる為に、怨嗟の声にもめげず心を鬼にして断行致しました。『医療者の鑑』と自画自賛したい所ではありますが、出発前の4か月間痛飲して醜態を度々さらしておりますので、あまり偉そうな事は言えません。

 標高2400m前後まで到達しています。現在の所、SpO2の低下は見られるものの高山病の有意な症状は誰一人出ておりません。何十km移動しても、標高としては100mも上昇せず急激な高度変化が生じていないせいと考えられます。目的地の標高は3800mを超えますので、高山病についてはこれからも注意深く観察していく所存です。(旅行医学認定医という外科医には無縁の資格をもち、高山病については一定の知識を有しています。ご家族の皆様、御安心下さい。)

 今回はじめて-30℃を下回り、風速も10m/s以上ありました。風は1m/s吹くと体感温度が1℃下がるといわれており、これを加味すると体感上は-40℃に相当します。今までは薄着で外に出ても「ちょっと寒いな」ぐらいでしたが、今は「やばい、やばい」と若者のように『やばい』を連呼しています。外で洗濯をしていると、衣類が絞ったままの形で凍っていきます。一晩エンジンを止めた雪上車の内側のドアノブも凍りました。呼気に含まれる水蒸気でメガネのレンズは凍り、鼻の中も凍った感触がわかります。寒さのステージが1UPしたようです。他の皆さんもそれを感じていたようで、今朝のラジオ体操はほぼ全員雪上車の後ろに立って風除けとし、こじんまりした形になって体操することとなりました。



出発地:NMD 044
キャンプ地:NMD 100
標高:約2500 m
気温:-24度(18時半現在)
移動距離:約56 km
S16(出発地)からの積算移動距離:約 360 km
ドームふじ基地まで:約 630 km
本日の行動:
 移動、ルート沿いサンプリング、キャンプ地での観測、レーダー観測、雪上車整備


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