アイスコア研究ブログ


2019/04/11

最古のアイスコアの最深部の概算年代付け

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 こうしたブログをすすめたいと思ったのが、昨年のSCAR2018(ダボス)参加時でした。すでに10か月近くの時間がたち、その間、「南極ブログ」はすすめたものの、「研究ブログ」への投稿ができずにいました。

 今回EGU2019 (2019. 4.8 - 4.12)に参加し、欧州や他の地域の多くの研究者が集まると刺激に満ちた研究成果や経過を見聞します。そうしたことをシェアしていきたいとおもいますので、これを機に少しづつでも書き綴っていきたいとおもいます。皆様も少しづつで構いませんから、投稿にもご参加くださいませ。


この2月に終えた南極観測の成果を発表するポスターの前で(筆者)。レーダ観測の結果を実施報告および速報として示しました。

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最初の話題は、
Synthetic ice core records of the past 1.5 million years (Wolff et al.)です。
https://meetingorganizer.copernicus.org/EGU2019/EGU2019-19.pdf

過去80万年をこえるような古さのアイスコアを掘削したとき、掘削直後の解析によってだいたいどれだけの古い時代に到達したかを見定めるには、海底堆積物の信号との比較が重要になります。しかし、アイスコアと、海底堆積物の間では、みている信号が異なりますから、何を比較すると相似の信号を対比できるかというのが本発表の課題でした。
DEP(固体電気伝導度計測)による計測は、深層アイスコアを掘ったときに最初に実施する非破壊計測です。これは、水同位体信号(温度の指標)とは一対一では相関をもたないため、DEP信号からただちに氷期間氷期サイクルを読み取るには難があります。
Martinez-Garcia 2011 は、EDCアイスコアのダスト信号と、海底堆積物ODP 1090から得られた鉄信号( Fe)との相関をみつけています。
これを参考にすれば、新たに深層コアを掘削したとき、アイスコアのダスト信号を早期に得ることができれば海底堆積物の古環境信号との年代同期を実施していくことができます。
また、Elderfield (2012)は、EDCアイスコアの水同位体比(δD)と、海底堆積物のMg/Ca(海洋の温度の指標)の間に相関があることを見いだしています。
こうして、DEP電気信号、ダスト、δDと、海底堆積物の信号の相関を例示したうえで、到達年代の見当をつけるには、ダスト解析を活用することが適しているとの見解を示していました。

(参考)
Martinez-Garcia, A etal. (2011): Southern Ocean dust-climate coupling over the past four millionyears. Nature, 476(7360), 312-316, https://doi.org/10.1038/nature10310.
Elderfield, H et al.(2012): Evolution of ocean temperature ... the Mid-Pleistocene ClimateTransition. Science, 337(6095), 704-709,https://doi.org/10.1126/science.1221294
Birner, B et al. (2016): Similar millennial climate variability on the Iberian margin during two early Pleistocene glacials and MIS 3. Paleoceanography, 31(1), 203-217
08:37 | コメント(0) | 学会での見聞録など