アイスコア研究ブログ


2019/04/27

ドームふじアイスコアのガス中のO2/N2比

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3月末のICC研究集会、そして、EGUで、極地研の大藪さん、川村さんらによるドームふじアイスコアのガス中のO2/N2比の解析結果の報告を拝見しました。
ガス中のO2/N2比は、ミランコビッチサイクルによって起こる南極への日射量と同期して変動することが過去の研究によってわかっており、深層アイスコアの年代決定を行う際の重要な情報です。
ミランコビッチサイクルに沿った大きなスケールの(数千年~数万年)抑揚のほかに、ノイズ状の抑揚が「気泡→ハイドレート」遷移直後に起こることが、大藪さん、川村さんらからこれまでも報告されてきました。
 今回の報告の新たな視点の一つは、イオンであるMg2+, Ca2+, F-と、このノイズ状の抑揚が一定の相関をもち、相関係数が0.28程度になるということです。
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「気泡→ハイドレート」遷移の際には、気泡中とハイドレート中のO2とN2の分別が起こることは約15年以上前からドームふじコアで見いだされてきました。「Mg2+, Ca2+, F-と、このノイズ状の抑揚が一定の相関をもつ」ことは、ハイドレート化の先行/後発の度合いと、不純物の存在(ダストや塩微粒子など)によるハイドレートの核生成に関係がありそうに思えます。ミランコビッチサイクルに沿った大きなスケールの抑揚が、ごく短期の不純物の分布によって攪乱されてしまうのです。一方、攪乱が時空間的にどのように緩和・解消していくかに着目すれば、O2やN2の氷のなかでの拡散について知見を得ることができるのかもしれません。(藤田)
15:18 | コメント(0) | アイスコア研究