今年のEGUでは、Jacques Laskar氏がMilutin Milankovic Medalという賞を受賞されていました。フランスの天文学者の方で、太陽系の軌道計算や軌道の進化を研究されている方です。地球のミランコビッチサイクルにかかる各種計算結果は、アイスコアをはじめとした古環境研究で活用されています。
ウィキペディアでもその業績をみることができます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jacques_Laskarこの記念講演がこちら。
Astronomical solutions for paleoclimate studies. Historical views and new challenges.
Jacques Laskar
https://meetingorganizer.copernicus.org/EGU2019/EGU2019-18523.pdf講演の概要は、上の要旨を読んでくださると一番いいのですが、ミランコビッチサイクルの信頼できる計算限界として、10M年、20M年、40M年といういくつかの限界を示されていました。解析的に計算できる時代、解析解は無理で数値計算に臨むことになる20M年以上の時期、そして、40M年以上の計算は、誤差が拡がり不可能とのこと。アイスコア研究の時間の範囲では、現時点で1M年前後までを研究対象にするので、十分に信頼できる範囲にはいってきます。40M年以上の古い時代においては、Geological recordを読むことで、逆に地球の軌道要素を推定していくことが、今後の研究の方向であることを述べられていました。