南極観測隊便り 2018 - 2019


2019/01/25

S16から昭和基地へ・「しらせ」へ

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
昭和基地および「しらせ」への人員と物資の輸送が、1月23日に実施されました。予定されたヘリ便は全部で4便。現地時間12:30頃から、午後16:00頃を予定していました。当日起床してみると、うっすらと積雪があり、雲がでていました。それでも視程は十分良く、気象担当隊員の視程判定は30km。雪面にはコントラスト(雪面の陰影)は十分にみえていました。そうした状況から、輸送が開始されていきました。


写真1:ヘリ第一便が「しらせ」を発艦したとの無線通信を受け、ヘリ着陸予定地点近傍でスタンバイしました。手前に見える大きな袋(タイコンといいます)は、総量1トンの廃棄物です。これは昭和基地に輸送します。写真に記録されている時刻は世界標準時(UTC)です。実際の現地時刻は、これに3時間を足して12:20。


写真2:上の写真の4分後、ヘリコプターが上空に到着したので、発煙筒をたいて風の状況をパイロットが視認できるようにします。


写真3:さらに2分後、着陸態勢にはいりました。雪煙が舞い上がります。


写真4:物資を順次ヘリコプターに搭載。


写真5:昭和基地行き物資を満載し、隊員の高村さん(フィールドアシスタント)が搭乗し、第一便は昭和基地に向かいました。高村さんは今後いくつかの野外オペレーションのなかでフィールドアシスタントとしての任をつとめつつ、「しらせ」で帰国の途につきます。


写真6:昭和基地に物資と人員を降ろしたヘリコプターが第2便として上の写真の約30分後に飛来しました。


写真7:「しらせ」に輸送する物資を搭載したのち、隊員の栗田さん(研究観測担当)がヘリコプターに乗り込みました。栗田さんは「しらせ」船上での帰路での観測を担当していきます。大陸からはこの時点で離れることとなりました。この時点での写真にはまだ青空がのぞいています。


この直後に、比較的低い雪雲が現地を覆いました。第3便のヘリコプターが「しらせ」を発艦したとの連絡がはいり、上空からはヘリコプターの音が聞こえましたが、視程が悪すぎたため、ヘリコプターはそのまま「しらせ」に戻りました。
その後、状況が改善し、ヘリコプターの機長がヘリオペ再開可能と判断するまで約3時間を要しました。現地に残っていた8名に対しては、最悪の場合現地に宿泊が可能かどうか、それに、食糧の点では大丈夫か等、照会がはいっていました。
その可能性も十分あるものと認識して待機を続けました。


写真8:第3便の飛来は、結果的は現地時間16:20までずれ込みました。依然曇天と弱い降雪は続いていました。


写真9:再度「しらせ」送りの物資を満載してヘリコプターが離陸しました。


写真10:物資と人が去る雪上車内を後部ドアから撮影。私達が去る前に、車内は念入りに清掃しました。掃除機がけ、粘着テープを用いての床の汚れのはぎ取り、棚のぞうきんがけ、カーテンの洗濯等。次回に来てこの車両を使用する方々が気持ちよく使用を開始できるように。最終便(第4便)到着をもって、昭和基地とヘリ便の運航に関する無線通信を続けていた無線機の電源を切りました。


写真11:最終便(第4便)が到着。残った人員と、最後の物資を、昭和基地に輸送します。既に夕方5時。メンバーには、昭和基地で越冬隊員として越冬に臨む方々、「しらせ」で帰国の途につく方々、南極航空網で帰国の途につく方々がいます。


写真12:ヘリコプターに搭乗。


写真13:飛行するヘリコプターの内部。昭和基地に着陸しようとしています。
これで残った全員が昭和基地に到着しました。


ヘリコプター輸送の長い一日は終わりました。そして、内陸ドーム隊としての大陸上でのチームの行動もこれで完了しました。昨年11月10日に昭和基地を出発してから再度昭和基地に戻るまで75日間の行動でした。


研究観測担当の者やそのプロジェクトメンバーは、これまでの努力と各方面からのご支援の大きさをかみしめながら、観測の結果を科学成果としてまとめ公表をしていきます。「スピードが命」プロジェクト関係者が研究発表までの早さがきわめて重要であることをしばしば話す認識です。
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