南極観測隊便り 2018 - 2019


2019/01/23

日没の訪れと地球の影

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
1月の中旬以降、内陸ドーム隊がARP2地点から沿岸に近づくまで、曇天や悪天が続いていました。移動にともなって緯度もだんだん低緯度側にうつります。ドームふじ南方の探査地域では南緯77度付近だったものが、沿岸のS16付近では南緯69度付近。季節としても、夏至がすぎて既に約1カ月経ち、そのうえ、緯度も約8度低緯度側に移動しました。日付けは特定できませんが、いつの間にか日没が訪れるようになっていました。

1月19日の深夜零時頃に、真北方向の地平線に満月が半分顔を出していました。振り返って真南方向をみたら、太陽は地平線の下に隠れていました。日没をはじめて確認。


写真1:地平線上の真北の方角に半分顔を出した満月。日射がまだあたっている上側の空と、地球の影が映った下側の空があることがわかります。


写真2:真南の地平線。この日、太陽は既に隠れていました。


写真3:夜の橇列。これは西側。車列の風下側になります。

南極で越冬すると、天文現象の変化を観察しやすい環境になります。月の動きや、満ち欠けのサイクル、あるいは、星々の動きなど。天文を観察するときに邪魔になるような街の灯りはありません。オーロラの観察とあわせ、天体としての「地球」を実感できる環境です。

地平線に半分顔を出すような月も、越冬隊の方々はきっと何度も観察されることとおもいます。三日月が地平線から昇りはじめるときには、蜃気楼の効果も重なって、地平線からあたかも炎が上に立ち昇るかのように見えます。ほぼ水平に移動しながらゆっくりと昇ってくるので、それが炎ではなく本当に三日月であるのか確認できるまでに何時間も待つことになります。

今回、内陸観測の観測走行の終了時期と、日没の到来時期が重なりました。南極での盛夏は過ぎようとしています。

藤田記
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