南極観測隊便り 2017/2018


2017/12/08

12月7日(木) 最長移動記録更新

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本日、最長移動距離を更新しました!ルート方位表上の移動距離は68kmです(雪上車の走行距離は72km以上)。ドームふじまでは残り114 kmで、あと2日で到着できる距離まで来ました。

標高は3700mを超え、朝の気温が-40度程度まで下がるようになりました。空気が薄いなと感じています。日中でも-30度を下回るようになり、さすがに裸足にサンダル+Tシャツ・・・という出で立ちの隊員はいなくなりました。

1mを超えるような大きなサスツルギがごろごろ出てくるエリアは抜け、雪面がやわらかくなりました(軟雪帯と呼んでいます)。また、これまでのサスツルギ帯とは異なり、霜が付いているサスツルギが見られるようになりました。サスツルギにヒゲが生えているように見えます。かなり内陸まで来ましたが、一面真っ平らな雪原ではなく、サスツルギがあったり、雪面がかたい場所とやわらかい場所が混在して凹凸があったりし、グリーンランド氷床とは雪面状況が異なります。



ドームふじ氷床コアは直径10cm弱、長さ3000mほどの円柱状の氷です。実物はただの氷にしか見えませんが、地球の気候変動メカニズム解明の鍵となる様々な古気候情報が保存された、大変貴重な試料です。これまで多くの人がドームふじコアの分析や解析に携わり、様々なことが解明されてきました。私自身もドームふじ氷床コアを研究対象とし、過去にどのような組成のエアロゾルが南極内陸まで輸送されてきたのか、過去の空気はどのような組成だったのかなどを調べています。広い氷床を毎日眺め、この氷床全てに過去の地球の歴史が刻まれていると考えると、退屈な景色がある時ふとお宝の山に見えました。次の第3期深層コア掘削では「世界最古の氷」の取得を目指します。今年はそのプロジェクトの1年目としてレーダー探査を行い、次期深層コア掘削の候補地を探します。この広い氷床から、たった直径10cmの場所で100万年を超える氷を探し当てるのかと思うととても壮大なことのように思いますが、気候変動メカニズム解明の進展が期待される「世界最古の氷」の取得に少しでも貢献できれば良いなと思います。(大藪記)

本日の行動
出発地:MD552
キャンプ地:MD620
標高:約3700 m
気温:-38度(6時半)、-33度(18時半)
風速:2〜5 m/s
移動距離:68 km
S16(出発地)からの積算移動距離:942 km
ドームふじ基地まで:114 km
本日の行動:移動、ルート沿い雪尺観測とサンプリング、レーダー観測、キャンプ地での観測、燃料1橇デポ


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