南極観測隊便り 2017/2018


2018/01/26

沿岸拠点到着後のブリザード

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
1月23日に冷凍物資の空輸を終えて、翌24日には約80キロメートルの行程を沿岸拠点である「S16」に移動しました。雪上車による長距離移動としてはラストランの一日でした。曇天がどんどんすすみ、もしヘリ空輸の日程が一日ずれていたら空輸は大幅延期になっていたことを認識しました。さらに翌25日には天候の悪化が予報されていました。予報通り、午前中にどんどん風速が強まり、昼頃には風速は秒速12メートル程度になりました。風速が10メートルをこえると、野外作業は実質困難になります。ブリザードにあうと困る物資についての整理のみを午前に行い、午後には、車両に戻り天候待機となりました。その後もどんどん風雪は悪化し、本格的なブリザードとなりました。

 今後少なくとも数日はブリザードによって雪上車外ではほぼ何もできない日が続くかもしれません。南極沿岸部の観測でよくあることです。これまで観測に用いたレーダ装置系の雪上車からの取り外しと梱包だけでも3~4日間はかかると見積もっているのですが、この作業開始も天候回復まで延期です。車内でできることをすすめながら、機を待つような状況です。でも、観測も、走行も、冷凍試料も、いまやごく一部をのぞき実質完了しています。気持ちの余裕は大です。今回の一連の行動では、天候や航空機移動や空輸の日程など、機に恵まれた要素がとても多かったとおもいます。こうした機に恵まれない場合も当然多々あるわけ
で、これまでの隊次でも何度もそうしたことはありました。これからも何度も出会うでしょう。今回のとても恵まれた要素に感謝し、それは肝に銘じたいとおもいます。そして、研究所や観測隊や「しらせ」による最大限のバックアップによってこうした恵まれた状況が順次できました。ありがとうございました。

 ブリザードが去るタイミングでは、しばしば、激しくうごき徐々に晴れ間ができる積雲や、そこから差し込む光や雪原の風景のおりなす壮大な風景が出現します。息をのむような。日本でも、一度だけ台風が関東を通過する最後のタイミング、台風の雲の塊の最後尾のさしかかりで似たような光景を目にしたことがあります。今回も出現を期待しています。
(藤田記)
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