内陸行動の初日、移動は、S16地点から、より内陸H128と呼
ぶ地点まで、合計約77kmの移動となりました。初日ですから、
まだ車両や装備・物資の調子を確認したり、各種作業手順やルート
の走り方などを確認しつつの行動になります。
初日の移動77kmというのは、内陸隊の往路初日としてはかなり
大きな移動量です。よくある例は、午前中に車両や橇を確認し、
夕方16:00頃まで走行してキャンプインするような事例です。
今回は、荒天が来ることが予測されていたこと、それに、日程が既
に計画時から4~5日遅れていることなども検討材料にし、天気の
状況が良好なうちになるべく移動しておきたいという事情がありま
した。
観測も初日から開始しています。雪尺と呼び、ルート沿い2kmお
きに雪上に設置したステークの高さを計測し、前年の同時期からの
積雪量を計測します。1980年代後半から継続している、非常に
高い価値をもったデータを蓄積してきています。積雪に含まれる各
種イオン成分や、水同位体比などを計測するための積雪サンプリン
グも、ルート沿い10km毎に実施を開始しました。
氷床レーダ観測(UHF帯レーダ)は、
ルートに沿った連続観測です。
この日の夕方、走行中の車両の廃熱を利用し雪を融かしてお湯にし
、早速お湯のシャワーを浴びたメンバーも居ました。ケープタウンを離れてから
これまでの長い道のりの重労働でたまった汗と汚れを落とすことができました。
11/15 19:50の天気状況
風向70度、風速2.1m/s、気温-26.2℃、気圧822.
8hPa、天気:曇り、雲量9、視程30km
南極氷床の上にトレースを刻んで前進する雪上車と橇(櫻井撮影)
氷床のレーダ観測を実施しつつ前進する雪上車(津滝撮影)
氷床の上に2km毎に設置されたルート標識の竹竿。これは積雪量
を観測するためのステークです。(津滝撮影)
77kmの移動には、移動中や移動後に、あわせて数回の燃料補給
を実施します。軽油入りの燃料ドラムから、専用の手回しポンプを用いて、雪上車の
給油口に燃料を送り込みます。(櫻井撮影)
藤田記