59次夏隊の中澤です。
ドーム隊では化学分析用試料の採取を担当しています。
本日は、ドームふじ基地に向かうルート上で実施している積雪試料の採取と、積雪表面の雪質について紹介します。
積雪試料は、雪の中に含まれる様々な化学成分を分析するために使われます。分析する化学成分ごとに採取方法や採取する雪の深さを変えています。最も頻繁に採取する試料は表面の雪で、これは約10 km毎に採取しています。試料への汚染を防ぐために、写真のように実験用の手袋を着けて、風上にある雪をサンプル瓶に直接採取します。ドームふじ基地到着までに100を超える試料を採取する予定です。
この表面の雪ですが、移動するにつれ、徐々に質が変わっていく様が見て取れます。例えば、出発地であったS16と呼ばれる地点では、出発前の数日間、雪が降っていましたので、表面の雪質はふかふかの新雪でした。我々が出発してから2日目の午前までは、ルート表面の雪質は新雪でしたが、2日目の午後、出発してから48 kmほど進んだH68と呼ばれる地点まで来ると、雪質はウィンドクラストに変化していました。これは、風によって運ばれて来た雪粒が、壊れたりして粒が小さくなった状態で堆積した時に見られます。そして、積雪表面は薄く硬い層となります。風の影響で雪が固まった状態になるわけです。このウィンドクラストの上を歩くと、サクッ、サクッと音がして割れます。表面の雪質の違いから、S16地点で降っていた雪は、H68地点では降っていなかったことが分かりました。