周辺とのかかわり・テーマ実現
 


氷床探査レーダを搭載した車両と内陸調査隊


●周辺研究分野とのかかわり

私たちのおこなう極域気水圏研究は、他のサイエンスの様々な領域と同様、サイエンスの様々な領域と密接につながっています。
これまで述べてきた気水圏分野の研究計画は、分野を越えた連携を進めることによって新しい成果が期待されます。

(A)高層大気との関わり
成層圏より上層の中層・超高層大気とは、重力波、惑星波を介して力学的な相互作用をしています。その分野ではPANSY計画との連携をとることによって、将来の新たな研究体制を期待しています。

 (B)固体地球、海底堆積物、地形・地質との関わり
氷床の質量収支と海水準を議論する際にはアイソスタシーを考慮し、広域の情報を併せる必要があります。また、過去の気候・環境変動の研究のため、海底堆積物、地形・地質の分野を含めて、固体地球等の分野との連携を続けていくことが必要と考えています。

 (C)生物活動との関わり
大気微量成分のソース/シンクとなる海洋生物活動や海洋溶存物質の研究や、アイスコアや雪氷表面層から検出される微生物等の研究を進めるために、生物分野との連携が必要と考えています。

 (D)海洋観測共同運営
これを期待しています。

 

●研究テーマの実現に向けて

 
ここまで述べた研究テーマの実現に向けて、以下の取り組みをつづけていきます。

 1)両極における大気微量成分の高精度・新成分測定への取り組みを数10年継続すること
 2)北極・雲レーダーの活用と南極への展開、及び大気リモートセンシングの拡張
 3)第2ドームふじ基地の建設と継続的観測
 4)氷床深層掘削(南極氷床・グリーンランド氷床)、氷床・氷河の浅層掘削(南極、グリーンランド、北極の氷河)
 5)内陸トラバースによる氷床内部、大気観測
 6)北極域拠点活動(ニーオルスン、他)
 7)船舶の充実による大気、海氷、海洋観測の展開(南大洋・北極海)
 8)海洋上でのCTD・係留系観測等、海洋循環に関わる観測の強化
 9)PANSY計画との協調

研究環境として
 アイスコアサンプル分析機器拡充
 国内の観測準備フィールド常設化(陸別町など)
 無人航空機観測技術の定着
 数値モデルの運用、等

組織環境として
 観測を支え発展させるための技術スタッフ充実
 研究・観測展開のための所内設備、雪上車等インフラ充実
 研究・観測継続のための経験的知見の整理と適用
 気候変動分野への人材増強・育成
 他大学・他機関との連携の維持・強化

 
 


 
 

第59次・60次共同の内陸観測:ノルウェーからも2名参加


みずほ基地近くでの曇天


2007/2008年 日本・スウェーデン共同トラバースの南極内陸部での軌跡


ドームふじ基地 1997年ころの姿:現在は積雪に埋没


ゾンデ観測の準備中