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![]() 英名:Adélie penguin 学名:Pygoscelis adeliae ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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![]() 体長70cmと中型。雌雄は似ているが、メスの方が一回り小さい。頭から体の背中側、しっぽにかけては黒色。目の周りには特徴的な白い輪があり、表情が豊かに見える。また、威嚇する際は頭の羽毛を立てる仕草がよく見られる。腹側は白で、黒い顎やのどとはV字型のラインではっきり分かれている。フリッパー表面も背と同じ色で、裏側は白い。フリッパーの前側の縁に細い黒っぽいラインがある。嘴は大部分が黒で付け根がオレンジ色。足は鈍い白色からピンク色だが、裏は黒い。雛の羽毛は光沢のある銀色からすすのような暗い色まで、かなり幅がある。 |
![]() 極を取り巻くように分布していて、ロス海のロイズ岬(南緯77度)をはじめ、南極大陸の沿岸や、南極半島の西岸、スコティア列島の島々、サウス・サンドウィッチ諸島の北岸、ブーベトーヤ(南緯54度)で繁殖している。遠洋では繁殖しない。 ![]() 海洋で分布の南限は大陸棚の氷の限界、北限は浮き氷の限界までである。外洋で見つけられることはほとんどない。繁殖コロニーは、岩のごろごろした島や半島、海岸、小石の坂などにある。 ![]() 主な餌は甲殻類(ナンキョクオキアミ)であり、70%以上を占める。他の主要な餌は、魚類、頭足類である。 シグニー島では、育雛期、親は夜明け前に採餌旅行に出かけ、ほとんどが15〜19時に戻ってくる。しかし、ホープ湾では、真夏の間は一日中いつでも採餌旅行に出かけ、また、帰ってきている。 採餌旅行の水平距離は、バード岬では抱卵期コロニーから100kmも離れたところで採餌を行っていた。一方、育雛期には採餌旅行は短くなり、コロニーから10kmの範囲内で採餌を行っていた。ヴェシャヴィス島でも抱卵期の採餌旅行は100〜300kmと長く、育雛期には12km以内の範囲で採餌していた。 ホープ湾で計測された最大潜水深度は170mだが、100m以上潜った個体は25%未満だった。ほとんどは浅い潜水を行っていた。1回の採餌旅行あたりでオキアミを1150匹、あるいは1分あたりオキアミを7.2g取っていると推定されている。南極大陸東部では、潜水の98%が20m未満の浅い潜水で、40%が16〜20時の間に行われた。潜水深度の中間値は、6.1〜10.9mで、最大潜水深度は、16.9〜26.8m、潜水時間の中間値は、1.4〜1.9分だった。潜水の97%はバウトと呼ばれる一続きの潜水行動期間内に行われるが、1回のバウトの長さは平均して23.5分であり、1回のバウトには平均12.9回の潜水が含まれていた。パルマー基地では、潜水深度の中間値が26mで、ほとんどの潜水は深度10〜40mの間で行われていた。 | |
![]() 小石を集めた巣で卵を抱く |
![]() アデリーペンギンは、5〜8月にかけては海で過ごし、9〜10月ごろにコロニーに戻ってくる。密集しコロニーを作って繁殖する。コロニーの大きさは最大で20〜30万つがいにもなることがあり、高密度で繁殖する。巣は、浅いクレーター状で、小さな丸っこい小石が周囲を囲み、境界となっている。オスは最初に場所を選び巣作りする。つがい形成期の主なディスプレイは、恍惚のディスプレイやおじぎ、相互ディスプレイなどが知られている。つがい形成後は雌雄ともに巣作りをする。産卵は、10〜11月頃に行われ1巣に2卵を産むのが典型的である。抱卵は、32〜34日間続き、両親が交代で抱卵する。交代間隔は、11〜14日間のが2回ともっと短い間隔のものが数回含まれる。雛は孵化後22日間は両親によってガードされながら給餌を受ける。その後、小さなクレイシ(10〜20羽程度)を作るようになり、両親から給餌を受ける。コロニーを離れるのは、50〜60日齢である。1つがい辺りの巣立った雛の数は、0.68〜1.39羽であり、繁殖地や海氷環境、餌条件などによって大きく変動することが知られている。 成鳥は、繁殖後の2〜3月に換羽を行うが、海に旅立つのは4月上旬である。一夫一妻制で、60〜80%が翌年も同じ個体と繁殖した。特定の巣場所に対する執着が強く、60〜90%が前年の巣に戻ってくる。繁殖開始年齢の中間値は、メスが4.7〜5.0歳、オスが6.2〜6.8歳である。 |
![]() 全個体数は、最低で261万繁殖つがい、それに幼鳥が1000万羽と推定されている。生息地の状況は、おおむね安定しているないしは増加傾向にある。例えば、ロス海地域では、1981年から88年の間に個体数が3〜30%増加した。同様に、南極大陸の東側にあるウィルクス・ランドでも、1963〜83年の間、年平均で3.7%の増加が観察された。この間、1年当たり11.7%で新しいコロニーの増加も観察された。これは、南大洋の温暖化に伴う餌の増加によるものと考えられている。温暖化がそれほど顕著ではない南極半島では、個体数はより安定している。しかし、いくつかのコロニーではこの30年ほど個体数が増加している。これは、1950〜60年に卵の採集をやめてからの傾向である。 人間活動による影響を受けやすく、研究用の基地を建設したロス海、ロイズ岬、テル・アデリーでは地域的に個体数が減少した。ただし、人間活動を厳しく規制したことによって、以前の個体数に回復した。 | |
![]() 海氷上で集団で行動するアデリーペンギン |