和名:ススイロアホウドリ
英名:Sooty albatross
学名:Phoebetria fusca
形態
分布
生息環境
餌と採餌行動
繁殖
個体数の現状と保全
形態
体長84-89 cm、体重 2.4-2.7 kg、翼開長 203 cm。全身暗灰色であるが、目の周囲だけが白く円になって覆われている。ハイイロアホウドリとよく似るが、首から背中、尾にかけての部分の淡い灰色がみられない点で異なる。また、嘴もハイイロアホウドリよりも細く、下嘴に黄色の線を持つ点で異なる。

分布
繁殖地は主に大西洋区からインド洋区にかけての亜熱帯域・亜南極域の島々である。プリンス・エドワード諸島、トリスタン諸島、ゴフ島(Gough I.)など。外洋では大西洋区からインド洋区の亜熱帯収束線海域でもっともよく見られる。

生息環境
外洋域を主な生息域とし、繁殖のため以外陸地を訪れない。繁殖は離島で行う。繁殖地はタソックなどの草に覆われた急斜面が多い。外洋では一般にハイイロアホウドリよりも水温の高い海域によく見られる。

餌と採餌行動
餌は主にイカ類(ニュウドウイカ属、ウデナガニュウドウイカ、Ommastrephidae)で、魚類や甲殻類も食べる。クローゼ諸島での調査では、餌構成(湿重比)はイカ類38 %、魚類58.2%、甲殻類3%、その他0%であった。おもに表層ですくい上げる方法によって採餌する。しかし浅い飛び込み潜水して、翼を使って水中で餌を追跡し捕食することもある。魚のゴミを捨てる漁船などによく集まる。

繁殖
成鳥は繁殖を2年に1回行い、7-8月に繁殖が始まる。弱いコロニー性を示す。巣は地上に泥と草を使って作られる。190-270gの卵を1つ産む。抱卵期間はおよそ70日でオス・メスは3-14日交代で抱卵する。雛は灰色の羽毛に覆われており、巣立ちまでは160日を要する。性成熟するまでは9-15年かかる。クローゼ諸島での調査では1975-1984年の間の親の年生存率は95.1%で、平均的なつがいは3.85年に一度1羽の雛を巣立たせている。

個体数の現状と保全
個体数の総計は1万5千-2万1千つがい、全個体数は8万-10万個体と推定されている。ゴフ島に5千-1万つがい、トリスタン諸島に4千-5千つがい、プリンス・エドワード諸島に2千700つがい、クローゼ諸島に2千600つがいが生息している。