和名:ケルゲレンミズナギドリ
英名:Kerguelen petrel
学名:Pterodroma brevirostris
形態
分布
生息環境
餌と採餌行動
繁殖
個体数の現状と保全
形態
体長33-36 cm、体重331-357 g、翼開長 80-82 cm。体全体が一様に黒いが、特に翼には光沢があり、パッチ状に淡く見えることがある。他の黒色のPterodroma属よりもやや小型である。

分布
繁殖地は亜南極の島々である。トリスタン諸島、ゴフ島、ケルゲレン諸島、クローゼ諸島、プリンス・エドワード諸島など。外洋では南極周辺の海域から亜南極海域まで周極的に広く分布する。

生息環境
繁殖地は海の近くの湿った土地に多い。標高450 mまでの火山の外壁に見られることもある。クローゼ諸島周辺の外洋域では大陸棚域の餌の多い地域には本種の数は少なく、他のミズナギドリ目鳥類(特にノドジロクロミズナギドリ)との競合により排除されていると考えられている。

餌と採餌行動
餌は主にイカ類だがオキアミ類、魚類も捕食する。定量的な調査は行われていない。主にディッピング(飛翔しながら頭を少し水につけて餌を採る方法)と表層に浮かんですくい上げる方法によって採餌する。採餌する時間帯は主に夜である。

繁殖
繁殖は8月に始まる。弱いコロニー性を示す。巣はやわらかで湿った砂地に深い穴を掘って作られる。卵を1つ産む。抱卵期間はおよそ49日。雛は灰茶色の羽毛に覆われている。ふ化後2日は親が抱雛する。巣立ちまでは59-62日を要する。

個体数の現状と保全
個体数の総計は数十万個体と推定される。3-5万つがいがケルゲレン諸島に、数万個体がクローゼ諸島、プリンス・エドワード諸島にそれぞれ生息する。マッコーリー島では1979年に約7850つがいが生息していたが、近年個体数は減少している。移入されたネコ、ラットによる多数の繁殖個体の捕食がクローゼ諸島で観察されている。プリンス・エドワード諸島ではトウゾクカモメによる捕食もみられる。