和名:ナンキョククジラドリ
英名:Antarctic prion
学名:Pachyptila desolata
亜種:P. d. desolata, P. d. alter, P. d. banksiの3亜種が確認されている。

形態
分布
生息環境
餌と採餌行動
繁殖
個体数の現状と保全
形態
体長25〜27cmで、150〜160g。翼開長58〜66cm。頭部、背面、尾は青みがかった灰色で、羽を広げると背側に羽の風切り羽から弧を描くような黒いラインが入っている。また、顔には額から眼を通って頬のわきまで黒いラインが入っている。尾の先端も黒いラインが入っている。顔は白い。腹側は原則として白色。クジラドリの仲間は大変識別が困難で、嘴の幅、羽の長さや尾の長さなどで種を識別する。

分布
P. d. desolataは、クローゼ諸島、ケルゲレン諸島、マッコーリー諸島に、P. d. alterは、オークランド諸島、ハード諸島に、P. d. banksiは、スコティア湾、サウスジョージア諸島、サウスサンドウィッチ諸島、スコット島で繁殖している。

生息環境
海洋性で遠洋性であり、繁殖地を除いて陸から離れて生活している。浮氷の北限より冷たい海に住む。繁殖地は、傾斜地の草むらの下や岩の割れ目や壊れた岩や崖の上に作られる。

餌と採餌行動
主にオキアミ等の甲殻類、カイアシ類、ヨコエビ類である。量的には少ないが、小魚やイカも食べる。主に表層に浮いている餌を水中からすくい取って食べる。

繁殖
11月に繁殖を開始し、密集したコロニーを作る。巣穴や岩の割れ目などに巣を作る。一腹卵数は1個で、44〜46日間抱卵する。その間抱卵交代は、1〜5日間ずつ行われる。孵化後3-5日間抱雛し、雛は45-55日間で巣立つ。

個体数の現状と保全
全体的に見ると個体数には、大きな脅威は存在しない。数も多く、広く分布している。主要なところでは、サウスジョージア島には、2200万つがい、ケルゲレンには、200〜300万つがいが繁殖している。いくつかの繁殖地では、捕食者がいないところもある。オキアミ漁業が過度に行われると、今後個体数に深刻な影響を与える可能性がある。保全の目標は大規模な個体数を維持し、繁殖地を保全することで、繁殖地に入ってくる捕食者をコントロールすることである。現在のところ大多数の繁殖地では、大規模な保全活動は必要ない状態である。