南極観測隊便り 2017/2018


2018/01/24

DF2深層コア等冷凍資試料をすべて「しらせ」へ空輸

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
2018年1月23日、DF2深層コアや今回の内陸調査で掘削・採取したアイスコア等の冷凍資試料がすべて輸送船「しらせ」へ空輸されました。海上自衛隊のヘリコプターが、昭和基地近傍に停泊する「しらせ」と私たちが滞在した場所「H128」の片道約85kmの区間を8往復する、一日がかりの空輸オペレーションでした。観測隊、それに、「しらせ」各方面の方々に深く感謝です。詳細は本ブログに別途記載されるとおもいますので、私からの記述をここでは控えます。

本ブログのホストである「ドームふじアイスコアコンソーシアム(ICC)」にとって、この陸上輸送と空輸の成功は大イベントです。2007年前後までに掘削を完了していたDF2深層コアがこれですべて4月中旬に日本に届くことが確実になりました。主に1,400 - 2,400メートル深の深度で、これまでは、この深度に関する研究は、1990年代に掘削をしたDF1コアのみを用いておこなってきました。2本目のコアもすべて国内在庫として揃うことによって、DF1コアのみで研究をおこなっていた深度について、DF2コアも用いた解析研究が可能になります。国立極地研究所では、今回のコアが日本に届いたら立川の国立極地研究所の-50℃の冷凍貯蔵庫に収納可能になるように、既存在庫のアイスコアの整理や国内の貯蔵バックアップ体制(仙台市の民間倉庫への冷凍貯蔵)の手配・整備など、甚大な努力をはらってきています。今回のコアが日本に届いたらただちに行うべきことは、「DEP」と呼ばれる電気伝導度の非破壊連続計測とおもいます。これによってDF1コアとの対応深度を精密に確定し、火山性硫酸不純物の含有量を見積もり、DF1コアや他の深層アイスコア(ドームCコアやボストークコア等)との精密深度
対応づけができます。そして、その後は、このアイスコア資料を本ホームページに記載している各研究グループやその連携グループが洗練された研究を順次おこなっていきます。ICCの会員の方々におかれましては、筋のいい狙いを定めた研究の準備の継続をよろしくお願いします。連携プロジェクトの立案と実行もよろしくお願いします。さらなるサイエンスの展開が、真に科学と人類・社会への貢献となります。
(藤田記)
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