南極観測隊便り 2017/2018


2017/11/28

11月27日(月) 犬と熊とペンギン

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こんにちは、医療隊員宮岡です。高度は2800m、気圧は690hPa前後になりました。空気が薄いためか、少しの作業で息が切れます。
 日本から出発する前、南極に行く話をすると、「タロ・ジロみたいに犬ぞりするの?」とよく聞かれました。南極条約により動植物の南極への持ち込みは厳しく制限されており、現在でほぼ不可能になっています。出国前にロボット犬である『AIBO』の久々の発売が発表されていましたが、あれなら可能でしょう。犬の話をしていると実家の愛犬に会いたくなってきます。今は、犬のかわりに除雪車や雪上車を用いた移動を行っています。機械隊員の小林さんと私が乗車している雪上車は、20年選手だそうです。この調査で使用する車両では一番古く、振動は一番大きいしシートなどのガタも見受けられますが、毎日寒さにもめげず頑張って動く車両に乗っていると愛着が湧いてきます。号車番号『109』日本のどこかのおしゃれスポットの名前に似ているかもしれませんが、日々の写真を見てもらってもわかるように、アウターはほとんど毎日同じ物を着用しており、おしゃれとは無縁の生活です。

今回内陸調査に同行するにあたり、約20年前にドームふじ基地に行った、私の大学の先輩でもある大谷医師から色々アドバイスを頂き、そのアドバイスに従って行動しています。その先生もこの車両に乗車したかもしれないと思うと、何か不思議なものを感じました。



「熊はいるの?」とも度々聞かれました。熊は反対の北極にはいますが、南極にはおりません。専門家でなくても現地にたつと、まわりに何もないこの環境で生物が生きていくのが難しい事がわかります。ペンギンは沿岸付近にしかおらず、内陸にペンギンの足あとがあっただけで論文になるぐらい珍しいようです。今回、その熊とペンギンを人形ではありますが南極の内陸に出現させてみました。夕食準備終了後の空き時間、観測の見学に行った際の写真です。厳しい寒さの中調査している観測隊員もほっこりした表情になっています。飛行機での移動中はカメラやパソコンの緩衝材になり、またこうして人々に癒しも与えてくれる彼らに感謝です。



本日の行動
出発地:NMD 158
キャンプ地:NMD 218
標高:約2830 m
気温:-31度(6時半)、-27度(18時半)
風速:9〜12m/s
移動距離:60 km
S16(出発地)からの積算移動距離:473 km
ドームふじ基地まで:583 km
本日の行動:移動、ルート沿いサンプリング、レーダー観測、キャンプ地での観測、雪上車整備

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