南極観測隊便り 2017/2018


2017/12/12

12月11日(月) ドームふじ基地での作業1日目

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今日からドームふじ基地での作業が開始しました。まずは第2期ドームふじ深層アイスコアの日本への輸送の準備です。このコアは3035mの長さがありますが、そのうちの約500m分がドームふじ基地に保管されています。その中には、過去に地球が現在より暖かく、南極氷床が縮小して海面水位が高かった「間氷期」の時代の氷が含まれていて、これを国内に運んで最新の技術を駆使して分析することで、当時なぜ暖かかったのか、南極氷床が正確にいつ縮小したのかなど、将来の気候を予測する上でも重要な気候変動に関する知見が得られます。

今日の作業は、ドームふじ基地への出入り口の掘り出しと基地内部の視察、コア搬出のための昇降機の試運転と搬出口の掘り出し、雪に埋まった物品の掘り出しなどで、雪を掘る作業が多い日でした。気圧は約600hPaと平地の約6割しかないので、少し頑張ると息が切れます。また、基地内の気温は−50度以下なので、−30度の地表に出てくるととても暖かく感じられました。私は今まで約20年間、第1期、第2期のドームふじコアを用いて過去の気候変動や大気の研究をしてきましたが、今回始めてそのコアが掘削された現場を目の当たりにし、非常に感慨深いものがありました。

明日もコア輸送の準備作業が続きます。
(川村記)

キャンプ地:MD732(ドームふじ基地)
標高:3810 m
最低気温:-40度、最高気温:-30度
風速:1〜3 m/s
本日の行動:ドームふじ基地への出入口とコア搬出口の掘り出し、基地内視察、南出入口周辺の除雪、デポ物品からローラー台と銀マット掘り出し、昇降機の試運転(既設の機器で搬出する予定)、レーダー試運転




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