南極観測隊便り 2017/2018


2018/01/16

賞味期限は食べられる期限ではないという事

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 ダイエットするのが面倒くさくなってきた医療隊員宮岡です。現在の地点は、ドーム基地に比べると標高が約600m下がり、体が楽になった事を感じている隊員が出てきました。私は消化管の活動が亢進し、ガスが多く出るようになりました。標高が下がるという事は、水の沸点があがりますので、お湯を沸かした際のガス缶の消費量がUPします。標高(気圧)っていうのは様々な所で影響を与えているのだなあ、としみじみ感じます。

 皆さんは食品の賞味期限を考えたことはありますでしょうか。私は出国前に、災害や紛争があってもしばらく生きられるように10日分の食料を購入し自宅に保管したのですが、その際感じたのが賞味期限って案外短いって事です。コンビニに置いてあるカップ麺やお菓子等は基本的に半年以内に期限が来ます。日本の南極観測は基本的に年1回しか食料は補給されないので、1年以上賞味期限が無いものは食べてしまうか、期限切れを食べるか、もしくはその食材は食べずに我慢するかのどれかになります。その為、こちらにくると皆賞味期限の感覚がマヒします。自己責任になってくるのですが、臭いや味が問題なければだいたい食べます。ここでは口に出すのもはばかるぐらい賞味期限がきれた物も食べていますが、皆元気です。『全員が下痢になったら点滴も限りがあるし困るなあ。まあ、水(雪)と食塩(あじしお)は大量にあるから、あれで点滴作ればいいか』と、『ゴルゴ13』で得た知識をもとに計画を立てている事は誰にも言っていませんが、医療隊員としては少しヒヤヒヤしつつ、皆の食事をチェックしています。(なお、下痢がひどい場合は経口補水も有効なので、嘔吐がなければそちらが第一選択になります。)

 帰路も中継拠点と呼ばれるポイントを過ぎました。ここは、以前の隊が「A-COOP」と称して食品やお酒を置いていってくれていた場所でもあります。我々も頂くだけでなく、未来の隊の為に何か残さなくてはなりません。ただ、今回の隊員の多くは、今後も内陸調査に加わる可能性の高いメンバーばかり。中身を知っていては面白みが半減します。どうしようかなと思っていたら、たまたま先行して私ともう一人の隊員がこの地点に到着しましたので、二人の独断で食品をチョイスして埋めておきました。中身は内緒というか、急いで入れたのであまり覚えていないというのが正直なところですが、甘いもの、しょっぱいもの、酒のつまみにぴったりなもの等を選んだ気がします。これに関しては、現地に来ていただければ、観測隊員でなくてもご自由に持って行って構わない(南極に置いているだけなので所有権がそもそもはっきりしない)ものと(多分)なっておりますので、ご興味のある方は、是非。





 雪だけの景色は変わらないのですが、雪面の状況は素人でも変化しているのがはっきりわかります。サスツルギという雪のコブみたいなものが増えてきて、雪面も硬くなってきました。橇(ソリ)の連結の為に除雪しているルートを外れた時です。突然「ストップ!」と無線機から聞こえる大きな声。運転していた私は急いで雪上車を止め後ろを振り返ると、ひっくり返る直前の食料橇が目に飛び込んできました。食料橇は他の橇と違って高さがあり重心が高い為横転しやすく、また食材もだいぶ減ったため重量が減りサスツルギをつぶせなかったのもあるかもしれません。ピステンにレスキューしてもらい、事なきを得たのですが、ピステンがいなかったらと思うとぞっとした瞬間でありました。




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