南極観測隊便り 2018 - 2019


2018/12/03

第9次隊南極点旅行隊員ならば何と言うか?

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
ブログ題「2度目のブリ停滞11/19」でこんな記述をしました。

「今の時代ならではのハイテクはいろいろあります。GPSを基盤にしたPCナビゲーション、NAS、衛星を活用した通信、食材を短時間に加熱する電子レンジ。本ブログもそうです。第9次観測隊で、昭和基地から南極点までの往復旅行をおこなった方々がこれをみたらどう思うだろうかという話題が持ち上がりました。」

「昭和」の時代の古い話を書きます。
第9次隊南極点旅行隊の隊長は村山雅美氏(故人)です。観測隊のごく初期から観測隊を中心的に牽引した方々のお一人です。その時第9次南極点旅行隊の最若手の隊員は、矢内先生という方でした。第29次隊に、筆者は最若手(当時23歳)で「あすか基地」越冬に参加しました。矢内先生はこのとき基地の長でした。そこに、テレビ朝日がプロジェクトとして仕立てた「朝日南極飛行隊」がツインオッター機でTV報道クルーと村山氏などを乗せて飛来しました。基地に着いた村山氏が言った言葉は、「基地には最近の技術がたくさんあるが、本当の安全は大丈夫か?何かあったときの脱出口はどうする?」等等の辛口のことでした。先のブログの記述のあと、あの方が今の内陸隊をみても、きっとそんなことを言われるに違いないと私は勝手に想像をしていました。第29次隊であすか基地内でおこなわれたの朝日南極飛行隊の歓迎会の場では、歓迎会の宴席の間中、最若手の私は台所で皿洗い専従でした。古い思い出です。29次隊では基地の長であった矢内先生も、南極点旅行隊の場では、雪上車内の雑巾がけをたくさんやる立場にあったということをおっしゃっていました。

今の観測隊も、「安全」は最優先事項です。観測隊の永遠の課題です。

藤田記
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