南極観測隊便り 2017/2018


2018/01/04

昭和

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 レーダー隊2名が4泊5日の任務を終えて本隊に合流しました。レーダー観測をしている研究者の方は疲れが見えているものの、充実した表情なのが非常に印象的でした。引き続きレーダー観測は本隊を離れる数泊単位の調査が続きますので、体調には十分注意して取り組んでいただきたいと思います。本日からは私も3泊4日の日程で同行いたします。雪上車の運転をしつつ、研究について色々質問してみたいと思います。日本では、高速道路の渋滞がはじまっている頃だとは思いますが、こちらは車どころか決まった道もありませんので、極端に言うと、GPSのナビゲーションがあれば運転席の窓にカーテンをして走ることも可能です。(見ていないと雪面のうねりで雪上車が飛び跳ねる事があるのでもちろんやりません)



 今年の初夢は、先遣隊で来た現在昭和基地にいる建築の設営隊員がげっそり痩せていて「お互い痩せたな~」と言い合うのと、放尿する夢でした。何を意味するのかは分かりませんが、起きた際にベッドが濡れていなかったので良しとします。
 正月気分は全くありませんが、食事ぐらいは豪華にしようと思い、2日は『海の幸day』とかってに決めて朝食から夕食まで色々提供してみました。南極の、沿岸から1000km以上離れた内陸で、日本で獲れた魚を刺身で食べるのは不思議な感じがしました。いくらを目の前にした某隊員のキラキラした笑顔は今でも鮮明に残っています。ほぼ全員、食事量が落ちているので、少しでも増えるようこっそり努力をしています。





 南極に来る前、BOSSに『君がその病院に1年間いて、君がいたからこそ助かった症例はあるのかね』と聞かれた事があります。隣の総合病院まで1時間以上かかる田舎の病院で勤務していましたが、外科医にとってそこまで緊急性のある症例(病気・疾患)はなかなかありません。その1年間でいうと、たまたま手があいていて、心臓が止まって運ばれてきた患者をレスキューした症例が1件あるのみでした。それも自分だけではなく周りのスタッフがいたからこそ助かった面が非常に大きいのはいうまでもありません。万が一の場合は飛行機にてレスキューしてくれる状況とはいえ、ブリザードの時は困難になります。あと1ヶ月たった10人ですが、いつ何時緊急事態が起こるとも分からない24時間オンコール体制が続いていると考え、『あの時医療隊員が適切な対応をしてくれたからこそ助かった』と言われるよう万全の態勢を整え行動していきたいと思います。なお、作業から帰ってくると、自称世界で最南端にいる「たまごっち」が旅立っていました。



ランダムモードにしていた音楽プレーヤーからレミオロメンの『昭和』が流れてきて、現在の状況とマッチし、柄にもなく少しだけホームシックになっています。暑い日差しと冷たい風が吹きすさぶ中、レーダー車の運転頑張りたいと思います。

(宮岡記)
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