南極観測隊便り 2018 - 2019


2018/11/16

ケープから昭和基地への道のり

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
ドーム隊より連絡がありました!
現在は無事に内陸旅行を開始したとのことです。ICC事務局代理

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ブログへの投稿が久しぶりになってしまいました。南極入りに際して、日々の動きが大きく、チームとしてとても忙しい時期が続いていました。
ブログには手を出せずにいました。

チームに起こった動きを順次記載します。ちょっと長いです。

 

11月8日
第60次観測隊先遣隊チームは、11月8日にケープタウンを発ち南極に向かいました。ケープタウンから、南極ノボラザレフスカヤ基地への移動は、南極に向かう航空網であるDROMLANのチャーター機で、約5時間の飛行になります。現地の天候の影響から、結果的にこのフライト実行はここまで延期されました。

 

上図:ケープタウンから、南極ノボラザレフスカヤ基地への飛行ルート。

 

上図:ケープタウンの空港の出発案内表示。Antarcticaとして行き先が表示されました。

 

上図:搭乗直前に撮影したイリューシン76型機。
「機体の安定性は際立っている」とALCIの関係者は口を揃えて評価していました。日本の観測隊員の防寒着一式が入った袋が航空機の前に並べられています。航空機が現地に着く直前に、-15℃前後の寒風にも耐えられるような衣類を着込みます。

 

上図:南極に向かう経路で、飛行行程の1/3を過ぎた頃、海氷が海をおおう領域の上空の飛行となりました。飛行機の窓から。

 

上図:ノボ基地滑走路に着陸直後のイリューシン機。16:50ノボ滑走路着陸。

20:30迄約3時間半、機中から機外へのの搭載物資の荷下ろしに立ち会い。-15℃程度の冷たい風の吹きさらしのなかでの作業となりました。一部すぐに確認できなかった物資が発生し一時ヒヤリとしましたが、翌日までに解決しました。

 

11月9日
10名の先遣隊員は、ノボ滑走路横の簡易宿泊施設に一泊したあと、バスラ-ターボ67型機というプロペラ機に乗り換え、昭和基地に向かいました。航空機の運航にかかる状況は、天候状況に応じて大きく変化します。実際に現地指揮官から出発が言い渡されるのが出発数時間前になります。早い昼食を11時半頃に済ませ、航空機に荷物を搭載後、13:00頃に出発となりました。昭和基地までの飛行は約3時間半でした。

上図:バスラ-ターボ機への物資の積み込み風景。
物資の総量は、約1,400kg。この重量を、搭乗人員の重量と合わせると、約2,500kgとなります。当初は、給油せずに昭和基地へ直行は無理と運行側が判断し、途中経路にあるベルギー基地に一旦着陸・給油する予定でした。運行側のその後の判断で、結果的には途中着陸と給油のない直行便となりました。ベルギー基地近傍から近くにある山塊を眺めることができなかったのは少々残念でした。

 

上図:スマホ画面に表示された移動の軌跡。上はアフリカ大陸南端です。下側が南極大陸。昭和基地の近傍にある湾で「リュッツォ・ホルム湾」上空でのものです。間もなく昭和基地に着陸。

 

 昭和基地への到着は、現地時間の夕刻となりました。昭和基地近くの海氷の上につくられた滑走録に着陸。越冬隊の方々の暖かい出迎えをいただき、昭和基地にはいりました。

先遣隊チームの昭和基地入りの様子は、国立極地研究所のホームページ「60次隊NOW」に掲載されたはず、、、。翌11月10日には昭和基地を離れたので、私達は確認できていません。「第60次隊先遣隊」の往路に行動を共にした10名のチームの一緒の行動はここまでです。10名中8名は、内陸ドーム隊として、内陸に向かいます。地学研究の2名の方々は、昭和基地近傍での調査活動にあたります。

11月10日
8名の先遣隊内陸ドーム隊員は、昭和基地で越冬隊員として過ごしてきた2名の方々と合流し、東オングル島という島にある昭和基地から、南極大陸の沿岸の拠点「S16」に雪上車で向かいました。当初予定では、昭和基地に数日滞在するはずでした。しかし、天候不順で航空機の諸日程が遅れたため、早期に内陸行動にはいる必要がありました。こうして、航空機での到着の翌日には既に内陸活動の準備として大陸に向かいました。こうした機動的な動きができたのは、第59次越冬隊の方々が昭和基地をベースとして全面的にこの内陸旅行準備を支援してくださったお陰です。深い感謝を申しあげます。

藤田記
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