南極観測隊便り 2018 - 2019


2019/01/18

我らスーパードーム人

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
こんにちは。医療の岡田です。

今回のドーム旅行で医療担当として一番心配していたことは「高所滞在による影響」でした。以前このブログでも言いましたが、ドームふじ基地は標高3810mと富士山よりも高い場所にあるため、空気中の酸素が平地の2/3程度しかありません。我々はそこに1か月近く滞在するため、高所による体への負担は免れないと考えていました。

実際、ドーム基地やドーム基地から50㎞離れたベースキャンプ滞在中は低酸素による息苦しさに全員が悩まされました。

作業中はもちろんのこと、日常の会話やただ食事を摂るときでさえ息苦しく、常に呼吸を整えることを意識している状況でした。睡眠中は酸素濃度がさらに下がるため、何度も目が覚めました。

その後少しずつ順応してきたものの、息苦しさだけは最後まで改善しませんでした。

しかしながら復路に入り、変化が…

徐々に高度が下がっていき、中継地点を越えたあたりから
「空気が濃い!」と、誰もが口ぐちに言いはじめました。

その後、

日常動作で息切れを感じなくなり、
食欲はアップし、
夜はよく眠れるようになり、

体の隅々まで酸素がいきわたっている感覚で、
給油作業も楽々。

 休み休みだった歩行も、
小走りしても全く平気に。

我々はマラソン選手や水泳選手などが試合前に高地(通常は2000m位の場所)でトレーニングを行い持久力を上げるのと同じく、気がつかないうちに高地トレーニングを行っていた状態になっていたのです。しかも約4000mの高地で1か月間という、かなりハードな状況で。

我々の体はドラゴンボールの「スーパーサイヤ人」ならぬ、「スーパードーム人」になっていたのです。

最終地点のS16まであとわずか。この「スーパードーム人」のパワーを使って、最後まで気を抜くことなく、全員で笑顔のゴールを目指していきたいと思います。

岡田記
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