南極観測隊便り 2018 - 2019


2018/11/27

H128-H288への移動11/16

Tweet ThisSend to Facebook | by ishida
内陸行動の2日目は、約86kmの移動となり、内陸旅行初期としては大きな移動量となりました。悪天が間もなく来ます。できるだけ、悪天度合いの激しい沿岸から早期に遠ざかることができれば、その後の行動の負担も軽減します。
天気は朝から曇天、ホワイトアウトとなりました。ホワイトアウトとは、全天をおおう雲と、雪と、降雪のために、すべて白色のなかで光が散乱し、雪の表面のコントラスト(陰影)も、地平線の位置も、わかりにくくなる現象です。ほぼ終日ホワイトアウトだった後、夕刻、南方に若干の晴れ間がみえました。しかし、夕刻に夕食を終えた頃には風雪が強まり、予報されていたブリザード(雪嵐)がついにはじまりました。日中に移動できただけでもタイミング的には幸運でした。早朝から行動し、夕方19:30頃まで行動を続けたため、食事は21:00過ぎとなりました。もう一時間でも行動時間を引き延ばしていれば、雪嵐に巻き込まれ、キャンプ体制の構築に支障が起こったことでしょう。
追って日本隊に参加するノルウェーからの同行者2名はすでにノルウェーの南極基地であるトロル基地に滞在し待機しています。これらの2名を輸送する航空機の回送が遅れているため、合流はさらに1週間程度先になりそうです。

初日と2日目で、片道全体行程約1050kmの約1/7を移動した計算になります。でも、きっと悪天等で移動できない日もきます。移動量を増やすには、運転速度を上げることはできません。車体や橇や橇積載物資に過度の負担を与えるためです。走行時間を増やすことが唯一の方策になります。車速は、雪面の状態や、視界の状況等に応じ、概ねの平均時速5キロ~10キロの範囲です。凸凹の激しい、サスツルギ帯と呼ぶ地域では、時速3キロ~4キロの範囲に落ち込むときもあります。この場合、通常の徒歩の方が早いくらいです。

生活としては、雪上車の廃熱でつくったお湯を使って、衣類の洗濯を開始したメンバーが居ました。この日の夕食はカレーでした。

11/16 19:20の天気状況
風向90度、風速6.9m/s、気温-16.7℃、気圧777.0hPa、天気:曇り、雲量10-、視程0.5km


 
ホワイトアウトのなかでキャンプイン体制にはいる雪上車隊列(川村撮影)


キャンプイン後、雪嵐がはじまりつつあるなか、ピステン車に燃料補給を行う隊員(川村撮影)

藤田記
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