南極地球物理学ノート No. 13 (2012.04.15)

南極・昭和基地における絶対重力測定1-重力観測室の建設


澁谷和雄・土井浩一郎・菅原安宏

Keyword: 昭和基地, 重力観測室, IAGBN(A)点の記, 佐久間晃彦, 絶対重力計, GSI 重力振子



測地学は地球形状の決定を大目的としているが、そのためには地球重力場を高密度、高精度の測定値で定めることが必要である。地球全球上で重力観測が実施されれば、南極地球物理学ノートNo. 12の(39)式により乱れ重力ポテンシャルが決定できて、ひいては十分な精度のジオイドが決定できる。しかしポテンシャルには一意性がないので、質量境界面(地表)での重力絶対値を知る必要がある。重力相対値はLaCoste-Romberg重力計、Scintrex重力計などのスプリング式重力計により測れるが、絶対値は物体の落下加速度の計測に依らなければならない。


絶対重力計とは、
(1)スプリング式相対重力計による測定の基準になる重力測定の絶対値を与える
(2)地球上の複数の地点に移動できて、その地点の重力絶対値を独立した測器・方法で、所定の精度(±10 μGal以内)の計測データを与える
重力加速度測定器械と定義できる。



1. 絶対重力計開発の経緯

そのような絶対重力計の端緒はKühnen and Furtwängler (1906)の可逆振子であり、ポツダム測地研究所(現在のGFZ Potsdam, Geoforschungs Zentrum Potsdam)で行って得た値、981274 mGalを基準値としてポツダム重力系(Borrass, 1911)が構成された。しかし、可逆振子は、振り子を支えるナイフエッジの機構系が持つ制約から測定精度の向上に対する限界が指摘され、事実、Schüller et al. (1971)によりポツダム重力系は+14 mGalという系統誤差を持っていると結論された(ポツダムでの重力値は実際には981274 – 14 = 981260 mGalであった)。

可逆振子以後の絶対重力計の開発は器械的な接触部分がない方法として、落体の投げ上げ・落下、あるいは自由落下における位置の精密決定から求めるという経緯をたどった。
1950~1960年代の絶対重力測定はCook (1967)によるガラス球の投げ上げ方式、Sakuma(1963)による運動干渉鏡の投げ上げ方式、Hammond and Faller (1967)あるいはFaller (1970)の運動干渉鏡の自由落下3点測定方式のいずれかでなされるのが一般的であった(山本、2005)。様々な国の様々な研究者が試みた方法を坪川(2004)、山本(2005)をもとに表1にまとめた。



2. 日本人の開発への関与

日本における日本人による重力測定は1899年から1900年にかけて、長岡半太郎らが東京・ポツダム間で重力振子を使って行った往復測定に始まると言われている。当時、東京大学旧基線尺検定室において得られた絶対重力値は、その後、日本、東南アジアの重力測定の基準として長く使われることになった。表1では Kühnen and Furtwängler (1906)を引用しているが、彼らの測定自体は1898年から1904年にかけて行われており、その初期の段階に呼応して長岡半太郎らの試みが行われたことになる。

日本での絶対重力計の開発は仙田他(1971)のスケール自由落下に始まるが、その生涯を開発に捧げ、Sakuma (1984)に記述される製品Type GA-60型絶対重力計を生み出した佐久間晃彦博士が特筆される(坪川、2004)。しかし、その活動の場はフランスのBureau Gravimetrique International (BGI)であった。コーナーリフレクター投げ上げ方式の、この絶対重力計は藤原・渡邉(1992)により昭和基地での最初の測定に使用された。昭和基地での測定の経過は南極地球物理学ノートNo. 14-15で記述する。



3. IAGBN

上記1950~1960年代の絶対重力測定を基にSchüller et al. (1971)の示した系統誤差を考慮して、新しい絶対重力観測の状況にふさわしい重力基準網の構築が1971年のIUGG/IAG総会で採択され、International Gravity Standardization Net 1971 (IGSN71)が制定された(Morelli et al., 1974)。その後、IGSN71は現在においても公認されている唯一の国際重力基準網である。しかしその精度は0.1 mGalであり、いろいろな不整合性を内包していて、宇宙測地技術の進歩に対応した、「重力値の時間変化を考慮した新しい基準網」が必要になってきた。そこで、1987年Vancouverで開催された第19回IAG総会でInternational Absolute Gravity Basestation Network (IAGBN)の構築が勧告された。この勧告はWorking Group SSG3.87の調査に基づくもので(Boedecker and Fritzer, 1986)、(1) 世界 の永年重力変動を監視する、(2) 相対重力計のscale factorの較正を行う、(3) ±0.01 mGal精度を維持する重力基準網として機能する、(4) Bureau Gravimetrique International, France (BGI) に重力データを提供すること、とされている。そして、偏らない地理的分布、運動の激しいプレート境界に位置しないこと、地殻変動が小さく安定した古い地質年代、宇宙技術観測とのコロケーションなどの観点から36点のcategory A地点がIAGBN網の観測点として推奨された。

南極域では図1に示されるようにMcMurdo基地とならんで昭和基地が選ばれ、地点番号IAGBN (A) #0417が付与されている。

Note13_図01

図1
1987年IAG総会で提案されたIAGBN基準点網。Category AとBの基準点があるが、南極では昭和基地とマクマード基地がCategory Aの基準点に選ばれている。




4. 重力観測室の建設と絶対重力測定用基台の整備


4.1絶対重力計登場以前

2章で述べた長岡半太郎らの重力振子を用いた東京・ポツダム往復測定は当時の世界基準重力値と比較しうる値が東京で得られた点で、大きな進歩であった。同様のことが南極でも行われている。

昭和基地における最初の重力測定は、第3次隊により、ウォルドン重力計を用いて実施された(原田ら、1960)。第4、5次隊においても同機器による繰り返し測定が行われているが、スプリング式重力計による測定なので、仮の基準点(既知点)からの偏差として各測定点の測定値が得られている。また、既知点と求点の測定時間間隔が長いほど、スプリングのクリープ現象により、測定精度が落ちてしまう。

第6次隊では国土地理院が所有するGSI型重力振子によりケープタウンと昭和基地間で往復測定が行われ、ケープタウンでの値を参照した絶対重力基準点が昭和基地に設置された(Harada et al., 1963)。絶対重力測定においては重力との関係が明らかな基本物理量である長さと時間を所要の精度で測定出来さえすれば、他の地点の重力値を参照する必要は本来ない。振り子の周期を5 x 10-9精度(30秒周期の場合150 ps)で測定することは1990年代でも特に問題はなかった。しかし、長さについて求められる10-8精度(100 cm長振り子について0.1μm)を実現するのは2000年代以降でも困難である。一方、Potsdamを起点にKühnen and Furtwängler (1906)の長さが厳密に管理されていて時間変化しない可逆振子を用いて、ポツダムーケープタウン間、さらにはケープタウンー昭和基地間で、振り子の周期差を所要の精度で測定できれば、遠隔地であっても、重力の絶対値を与えることが可能であった。第6次隊が設置した絶対重力規準点は天測点北側の基地建築物から北に約20 m離れた露岩上にあり、建物の幾多の新設・改築にも耐えて、2012年現在でも標識が保たれている(図2)。 その時、得られた重力値は次の通りであった。

note13_図6 note13_図7

図2 第38次隊にて 東 敏博氏撮影

GSI型重力振子

使用機器:GSI型重力振子
重力値:982 539.9 mGal
測定精度:およそ数百μGal (精度およそ2-3 x 10-7


4.2 絶対重力計用基台の建設

絶対重力測定は、その恒久性と要求される精度から、専用の観測施設が必要である。昭和基地の重力観測室は第32次隊によって建設された。1990年12月21日の建物位置決めから1991年2月7日の内壁シーリング・片付けまでの24日間、149人日の施工であった。使用したコンクリートは15.5 m3である。基地における初めてのチタン材外装建物で、絶対重力計だけでなく、超伝導重力計も設置するので、重力計センサーユニットの出し入れのために天井に滑車を取り付け、建物の背丈が3.6 mになった。図3に建物の外観を示す。背景はVLBIに使用している11 mアンテナのレドームである。

note13_図02

図3
完成した重力観測室の外観。チタン製外装パネルで覆われている。第一世代の超伝導重力計センサー部が長かったので、デュワーからの取り出し保守・維持や、デュワーへの液体ヘリウムを補充する作業の関係上、3.6 mという背丈の高い建物になった。



室内の測定スペースは6 m x 6 mで、岩盤から直接コンクリートで立ち上がる基台が3基ある。これらコンクリート基台は床と同一レベルで周りの基礎配筋や床から縁切りしてあって、建物の振動が伝わりにくいようにしてある。絶対重力計用基台は2.5 m x 1.5 mの大きさで、その中央には花崗岩の1枚プレートを配置し、定盤とまでは呼べないが滑らかに研磨してある。そして、花崗岩プレートの中央部には図4に示すIAGBN(A)点 markerが埋め込んである。なお、例えばスプリング式重力計で並行観測ができるように予備の基台(1 m x 1 m)も用意されている。

note13_図03

図4
絶対重力計用基台に埋め込まれた絶対重力基準点マーカー。建物を建設した第32次隊とIAGBN (A)点であることが明記されている。


図5はBoedecker (1991)のAbsolute Gravity Observation Documentation Standardsの書式に従った昭和基地IAGBN点の「点の記」である。位置はWGS84座標系での緯度・経度で、高さは平均海水面からの海抜高度で水準測量による実測値である。記載される重力値については、南極固体地球物理学ノートNo. 15(絶対重力測定3-FG5による測定)で述べることにする。



初期の重力規準測定に関する参考文献は次の通り。

友田好文・鈴木弘道・土屋 淳(1985):地球観測ハンドブック、第5章:重力の絶対値と振子による重力測定、
367-464頁、財団法人 東京大学出版会、830頁。
原田美道・鈴木弘道・柿沼精一・吉田新生(1960):第3次南極地域観測隊重力部門報告、
南極資料、9、43-54頁。
Harada, Y., Kakinuma, S., Murata, I. (1963): Pendulum determination of the gravity
difference between Tokyo, Mowbray and Syowa Base. Antarct. Rec., 17, 35-50.



IAGBNに関する参考文献は以下の通り。

Boedecker, G., Fritzer, T., 1986. International Absolute Gravity Basestation Network,
Status Report March 1986. International Association of Geodesy Special Study
Group 3.87, Veroffentlichungen der Bayerischen Kommission fur die Internationale
Erdmessung der Bayerischen Akademie der Wissenshaften, Heft Nr. 47, 68 p.

Boedecker, G., 1991. Absolute gravity observation documentation standards. Bull.
d'Inform. BGI, 68, 76-78.



絶対重力計開発の経緯と絶対重力基準系についての参考文献は下記に依る。

坪川恒也(2004):絶対重力計開発の経緯と現状―佐久間晃彦先生を偲んでー。測地学会誌、
第50巻、第4号、281-294頁。(Tsubokawa, T., 2004. History and current status on the
development of the absolute gravimeter – An obituary of Dr. Akihiko Sakuma-, J.
Geod. Soc. Jpn, 50(4), 281-294.)

山本明彦(2005):絶対重力基準系の現状、課題、今後の展望。測地学会誌、第51巻、第2
号、107-112頁。(Yamamoto, A., 2005. The absolute gravity reference system: Current
status, problems and perspective. J. Geod. Soc. Jpn, 51(2), 107-112.)



表1 絶対重力計開発の歴史的経過

参考文献

方法

備考

Kühnen and Furtwängler
(1906)ドイツ

可逆振子

gPotsdam = 981274 mGal
(±3 mGal精度)

Borrass (1911), ドイツ

ポツダム重力系

Volet (1952), カナダ

物差しの自由落下

Preston et al. (1960),
カナダ

ステンレス棒+ガラス
スケールの自由落下

Sakuma (1963),
日本ーフランス

運動干渉鏡の投げ上げ

Cook (1965), UK

ガラスボールの真空中
投げ上げ・自由落下

Faller (1970), USA

運動干渉鏡の自由落下

Schüller et al. (1971),
ドイツ

gPotsdam には+14 mGal
のbiasあり

仙田他(1971), 日本

スケールの自由落下

gKakioka = 979964.8 mGal

Sakuma (1971), フランス

運動鏡投げ上げ自由落下

佐久間式絶対重力計

Bell et al. (1973),
オーストラリア

運動鏡投げ上げ自由落下

Morelli et al. (1974)

IGSN71 (a), 0.1 mGal精度

国土地理院(1976)

JGSN75 (b), ±0.1 mGal精度

Murata (1978), 日本

単純自由落下法

Feng et al. (1982), 中国

単純自由落下法

Zumberge et al. (1982), USA

自由落下法, drag-free
chamber方式

JILA型絶対重力計

Arnautov et al. (1983),
旧ソ連

自由落下法, ソレノイド
吸引方式

Sakuma (1983), フランス

運動鏡投げ上げ自由落下
+ ヨウ素安定化レーザー

Type GA-60型

坪川・花田(1986)

単純自由落下法,
ランチャー式

Bödecker and Fritzer (1986)

IAGBN (c) 構想

Hanada et al. (1987), 日本

単純自由落下法, 真空筒回転式

Faller and Marson (1988)

単純自由落下法
drag-free chamber方式

藤原智・渡邉和夫(1992)

GA-60型による昭和基地での絶対重力測定

南極地球物理学ノート、No. 14参照

Niebauer et al. (1995), USA

単純自由落下法
drag-free chamber方式
除振装置(super-spring)付き

FG5型

Nakai et al. (1997),
Yamaguchi et al. (1997)

JGSN96,
±0.01 mGal精度

(a) IGSN71   The International Gravity Standardization Net 1971
(b) JGSN75   Japan Gravity Standardization Net 1975
(c) IAGBN    International Absolute Gravity Basestation Network



表1内に記載された、絶対重力計開発と重力基準系に関わる引用文献の詳細は以下の通りである。

Arnautov, G.P., Boulanger, Yu. D., Kalish, E.N., Koronkevitch, V.P., Stus, Yu.F.,
Tarasyuk, V.G., 1983. "Gabl", an absolute free-fall laser gravimeter. Metrologia, 19,
49-55.
Bell, G.A., Gibbings, D.L.H., Patterson, J.B., 1973. An absolute determination of the
gravitational acceleration at Sydney, Australia. Metrologia, 9, 47-61.
Borrass, E., 1911. Berichit über die relativen Messungen der Schwerkraft mit
Pendelapparaten in der Zeit von 1808-1909 über ihre Darstellung im Potsdamer
Schweresystem, Verth. 16 allg. Konf. Internat. Erdmess. London und Cambridge,
1909, Teil 3, Berlin, pp. 280.
Cook, A.H., 1967. A new absolute determination of the acceleration due to gravity at the
National Physical Laboratory, England. Phil. Trans. R. Soc. London, Ser. A, No.
1120, Vol. 261, 211-252.
Faller, J.E., 1970. The laser interferometer free fall apparatus. Bull. Inf. Bur. Grav.
Internat., 24, I.31-I.33.
Faller, J.E., Marson, I., 1988. Ballistic methods of measuring g - the direct free-fall and
symmetric rise-and-fall methods compared. Metrologia, 25, 49-55.
Feng, Y.-y., Zhang, G.-y., Li, D.-x., Qiu, X.-m., Zhou, J.-h., Gao, J.-L., Huang, D.-l.,
Huang, C.-q., Guo, Y.-G., 1982. A transportable absolute gravimeter for determining
the acceleration due to the Earth's gravity. Metrologia, 18, 139-143.
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J. Geod. Soc. Jpn, 22, 65-76.)
Hanada, H., Tsubokawa, T., Tsuruta, S., 1987. New design of absolute gravimeter for
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note13_図04

図5
昭和基地・絶対重力基準点の「点の記」。



Q and A

Q1: 図1によるとIAGBN網に属する基準点は36あるとのことですが、それらの点での測定状況はどうなっているのですか?

A1: 後のノートに示すように昭和基地での測定結果はこの10余年で、FG5を用いた測定だけで4回に渡っています。これらの測定データは折に触れBull d'Inform BGIに公表されているのですが、3章の(4)BGIに重力データを提供すること、が厳密な意味では実現していませんでした。というのは、2012年6月25日、BGIのURL site
http://bgi.omp.obs-mip.fr/domees-produits/Bases-de-donnees/Donnees-de-Gravimetrie-Absolue
を調べたところ、全645点ある絶対重力測定点のリストに昭和基地での結果が含まれていないことがわかりました。図1のIAGBN-A点のうち値が登録されているのは、Brasilia, Nanning, Nuuk->Inuvik, Penticton, Schefferville, Sta. Elena, Tandil, Wettzell, Yaragadee, Yellowknifeの10点だけでした。南極ではMcMurdo, Dumont d'Urville, Sanae, O'Higgins, Aboa, Novolazarevskaya基地などでも既に絶対重力測定がなされています。しかし、これらの結果もBGIのarchiveには載っていません。同じBGIでも正しい担当部署に通知をしないと、URLに記載されないようです。IAGBN網の残り26点のなかには、測定されていても記載されていない点がSyowa, McMurdo以外にもありそうです。



Q2: 引用文献に赤字の部分がありますが、どうしたのですか?

A2: 文献はできるだけ原典に当たり確認したのですが、調べきれないのがいくつか残りました。特にVolet (1952)は論文タイトル名がわからず孫引きのままです。Sakuma (1971), (1983), 仙田ほか(1971)については巻号・頁が現時点でわかりませんでした。ご存じの方は教えて下さい。



Q3: えらく立派な建物ですが、本当に必要なのですか?

A3: 南極の基地はどこもそうですが、変化が激しく、建物を新たに建てたり、取り壊したりが、絶えずなされています。また、人員が絶えず入れ替わるので、施設の維持・管理は意外に徹底しにくいものです。絶対重力測定は物理的に同じ場所、同じ環境条件で永続的に繰り返し行うことが必要なので、立派な建物は無駄ではありません。外国の例を聞くと3年前に測定した建物や基台が取り壊されていて、行ってみたらもうない、ということが良くあるそうです。