更新日時:JST
※データ利用の注意
このデータはクイック・ルック用であり、今後変更・訂正・修正される可能性があります。研究等への利用は、あくまでも自己責任でお願いします。また、ご利用の際には、こちらまでご一報下さい。
太陽活動は約11年で強弱を繰り返しており、黒点が最も多く出る時期を極大期、黒点が最も少なくなる時期を極小期と呼んでいます。1980年代から極大期の黒点数は徐々に少なくなっており、特に2009年の極小期には無黒点日が続き、1950年以降の観測史上最大となる宇宙線強度が観測されました。
本研究では、昭和基地に宇宙線観測装置を設置することで、特に2020年頃に予想される次期極小期に宇宙線がどれほど増えるか予測し検証することや、太陽フレアなどに伴う一時的な宇宙線の変化を理解することを目的としています。
地上で計測できる宇宙線には、主にミューオンと中性子の2種類があります。現在のミューオン計ネットワーク(GMDN)と中性子計ネットワーク(SSE)はそれぞれが独自の成果を挙げてきましたが、両者を統合して宇宙天気研究に利用した例はありません。本研究ではこの点に着目し、従来のミューオン観測と中性子観測の両方を統合することにより、宇宙天気研究の新展開を図ります。
2018年から、昭和基地で中性子計とミューオン計による同地点・同時観測がスタートしました。
中・低緯度での同地点・同時観測はこれまでにも例がありますが、磁力線を斜めに横切って検出器に入射する宇宙線を計測するため、地磁気により軌道が大きく偏向します。したがって、中性子計とミューオン計による磁気圏外での観測方向が大きくことなってしまい、観測された強度変動の違いは、この方向の違いによるものと区別することができません。
これに対し、緯度の高い昭和基地におかれた宇宙線計には、あまり磁力線を横切らずに大気圏に入射します。このため、昭和基地での中性子計とミューオン計による同時観測により、磁気圏外のほぼ同じ方向から入射する宇宙線量を約5倍異なる2つのエネルギー領域で観測することができます。また、同地点で観測される宇宙線は、大気中や地球磁気圏中でほぼ同じ経路を経て検出器に到達するため、大気変動や地磁気変動に対する応答の違いを従来よりも正確に調べることができます。
昭和基地の中性子計は、全6本(3本/ユニットで2ユニット)で構成されています。ただし、提供している値は6本の管の平均を6倍した10分値で出しています。管が1、2本故障しても可能な限りデータを取りたいためです。厳密には、3本のうち、真中の管のカウントが若干高いので多少ベースが動きます。
昭和基地のミューオン計は、60本(2m管20本,1m管40本)の比例計数管で構成されています。2m管10本に対して1m管20本を直角に置くことでミューオンの入射位置を特定し,これを上下に2層組むことでミューオンの入射方向を決定しています。提供しているデータは鉛直入射と判定された係数率(10分値)です。
加藤千尋 信州大学 教授
片岡龍峰 極地研究所 准教授
門倉昭 ROIS-DS 極域環境データサイエンスセンター 教授
小財正義 ROIS-DS 極域環境データサイエンスセンター 特任研究員
三宅晶子 茨城高専 准教授
宗像一起 信州大学 特任教授
学生:
林優希(信州大学)、村瀬清華(総研大)
OB:
浅野駿太(信州大学)、木原渉(信州大学)、高柚季乃(信州大学)、内田ヘルベルト陽仁(総研大)、内田悟(信州大学)、海見走(信州大学)、中村佳昭(信州大学)