Algae

南極昭和基地周辺の淡水藻類
南極昭和基地周辺の淡水藻類国立極地研究所関連データベース生物圏研究グループ極地植物多様性画像データ日本語 / 英語

○ Introduction

はじめに
1.湖沼の藻類
(Algae in lakes and ponds)
2.沢の藻類
(Algae in streams)
3.土壌表面の藻類
(Soil algae)
4.コケ群落の藻類
(Epiphytic algae)
5.岩の表面の藻類
(Epilithic algae)
6.礫底面の藻類
(Sublithic algae)
7.岩の割れ目の藻類
(Chasmolithic algae)
8.雪上の藻類
(Snow algae)

○ 学 名

Cyanothece aeruginosa
Cyanothece major
Gloeocapsa punctata
Gloeocapsa sanguinea
Chondrocysits dermochroa
Leptolyngbya battersii
Leptolyngbya perelegans
Leptolyngbya tenuis
Phormidium autumnale
Nostoc commune
Nodularia quadrata
Calothrix parietina
Dichothrix sp.
Stigonema minutum
Luticola muticopsis
Pinnularia borealis
Botrydiopsis callosa
Chloromonas polyptera
Macrochloris multinucleata
Kentrosphaera grandis
Prasiola crispa
Oedogonium sp.
Actinotaenium cucurbita
Cosmarium cf. clepsydra

1.湖沼の藻類(Algae in lakes and ponds)

昭和基地周辺の露岩地域には湖沼が散在しており、夏の気温は日中でも0℃前後であるが、夏は湖沼の表面の氷も解け(図3)、水温は、日射によって10℃前後まで上昇する(日向野,1977)。

図3 昭和基地周辺の露岩における湖沼調査。夏は湖の氷は大部分が解ける。1999年12月26日,ラングボブデ(大谷修司撮影)
 


しかし、南極の夏は短く、著者の観察では1988年のラングホブデ雪鳥池の場合、2月中旬には薄氷が張り始めていた(図4)。

図4 2月初旬には薄氷が張り始める。1988年2月18日,ラングホブデ雪鳥池(大谷修司撮影)
 


雪鳥池では湖底にマット状の藻被が広く分布しており(図5)、スカルブスネスのB4池では、コケと藻類が混在したコケの塔(コケ坊主)が多数見つかっている(図6)(Imura et al., 1999)。

図5 湖底の藻被をボートから撮影。藻被が一部めくれ上がっている。1988年2月18日,ラングホブデ雪鳥池(大谷修司撮影)
 


図6 湖底に見られるコケ坊主。高さは約60cmあり,水生蘚類と藻類が混生している。2000年1月19日,スカルブスネスB4池(筑波大学,土屋泰孝氏撮影)
 


湖沼の岸には湖底や湖岸の基物から剥離した藻被がしばしば打ち上げられている(図7)。湖岸の水深の浅い石や小さな池などの藻被の優占種は、藍藻のLeptolyngbya属であることが多く、これらが基質となり、珪藻(Amphora属、Navicula属等)や緑藻(Cosmarium属、Kentrosphaera属等)が混生している。


図7 湖岸に打ち上げられた藻被。灰緑色は裏返った藻被。2000年1月22日,スカルブスネス(大谷修司撮影)
 


ラングホブデの雪鳥池や、スカーレンのスカーレン大池では、裏表がはっきりしないパンのような藻被が浮いていることがある(図8)。

図8 パン状の浮遊する藻被。2000年1月29日,スカーレン大池(大谷修司撮影)
 



図9 パン上藻被の断面。1989年1月1日,ラングホブデ雪鳥池(大谷修司撮影)


これらは、波によってしばしばひっくり返されながら成長することから、裏表がはっきりしない構造になったと考えられる。パン状藻被の断面を観察すると、内部の構造はゆるく、緑色がやや濃い(図9)。パン状藻被には、藍藻のLeptolyngbya属と緑藻のサヤミドロ属の一種(Oedogonium sp.)が優占することが多い。

昭和基地周辺の湖沼では、プランクトンは一般的に少ないが、Oguni et al.(1987)は東オングル島のみどり池から黄金藻のParaphysomonas vestitaを、かもめ池からは藍藻Cyanothece major (原著ではSynechococcus maiorに同定)が優占したことを報告している。2000年の著者の調査では、スカルブスネス親子池では緑藻Amphikrikos nanusが優占していた(大谷未発表データ)。親子池の塩分は村山(1977)によると370mg/lの塩化物イオンを含む。本種は山陰の汽水湖である宍道湖にも時々出現する(大谷,江角1996)。スカルブスネスの舟底池は表層の塩分が海水の3.5-6倍あり、高塩分耐性のある緑藻Dunaliella属の一種が水深3-4m付近からプランクトンとして出現することが知られている(秋山,1975;Watanuki et al., 1987)。


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引用文献および参考文献一覧。